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【2020/5/20 更新しました】
オルフェーヴル。
2011年のクラシック三冠を成し遂げ至上7頭目となる三冠馬となりました。
オルフェーヴルといえば良くも悪くもエピソードが豊富な馬でしょう。
例えばジャパンカップで牝馬三冠を達成したジェンティルドンナのタックルで弾き飛ばされたり、阪神大賞典でレース中に走るのをやめたり、凱旋門賞であわや勝利を目前に気性の荒さが出たり、引退レースとなった有馬記念で8馬身差のぶっちぎりで有終の美を飾ったり...。
三冠馬としてのイメージよりも古馬のレースのほうが印象が濃いのはオルフェーヴルが走ってきたレースが多くの人の心を鷲掴みにしたからなのです。
オルフェーヴルの前の三冠馬であるディープインパクトが極めて安定した成績を持つ優等生だとしたらオルフェーヴルはクラスに一人はいる破天荒タイプです。
しかしながらディープインパクトとはまた違ったベクトルで多くの人に愛された名馬です。
そのオルフェーヴルも現役を引退し、種牡馬入りしてから数年が経ちます。
種牡馬入りして数年が立ち、すでにオルフェーヴルの仔もターフで活躍しています。
今回はオルフェーヴルの代表産駒とその特徴、レースでの狙いどころを紹介しましょう。
オルフェーヴルの血統、現役時代の戦績
最初にオルフェーヴルがどのような馬であるか紹介します。
父はステイゴールドで母はオリエンタルハート、母の父はメジロマックイーンです。
ステイゴールド×メジロマックイーンの仔は通称
ステマ配合
と呼ばれていて、レースで活躍する馬が多いのです。
ステマ配合で有名な馬はゴールドシップでしょう。
オルフェーヴルのひとつ年下のゴールドシップもステマ配合なのです。
そんなオルフェーヴルは2008年に生誕し、2010年にデビューしました。
この世代の馬で有名な馬を名乗るとしたらダービー、菊花賞、有馬記念で2着に入選したウインバリアシオンが有名です。
ウインバリアシオンは最終的にはG1タイトルに手が届きませんでしたがオルフェーヴル相手に好走したことから、現在は青森県のスプリングファームで種牡馬入りしています。
その他に有名な馬は最強のスプリンターとして名高いロードカナロアでしょう。
適正距離の兼ね合いからオルフェーヴルとロードカナロアが対戦することはありませんでしたがロードカナロアはスプリント大国である香港スプリントにて日本馬としてただ一頭、優勝、しかも連覇を達成しています。
至上最強のスプリンターといってもおかしくないロードカナロアも現在は種牡馬となり、初年度産駒に2020年4月時点でG1タイトルを6つ手にしているアーモンドアイを輩出していますね。
話を戻すとオルフェーヴルが最終的に手にしたG1は6つです。
皐月賞(2011)
ダービー(2011)
菊花賞(2011)
有馬記念(2012)
宝塚記念(2012)
有馬記念(2013)
です。
それ以外にも阪神大賞典の向こう正面で走るのをやめてからの追い上げであったり、凱旋門賞で59.5キロを背負いながら2年連続2着に入選したりと、未だに歴代最強と呼ぶ声もあります。
参考:三冠馬オルフェーヴルの血統、ファンに衝撃を与えた現役時代4つの事件
代表的なオルフェーヴル産駒一覧
(2020年4月21日時点でのデータです)
ラッキーライラック 獲得賞金6億6,552万円
2020年4月時点で最も賞金を稼いでいるオルフェーヴル産駒はラッキーライラックです。
ラッキーライラックはオルフェーヴルの初年度産駒で、母はアメリカで生産されたライラックアンドレースです。アメリカのG1、アッシュランドステークスを制しています。
ライラックアンドレースはアメリカで繁殖牝馬入りしていましたが日本のノーザンファームに売却されたことで日本に来日することとなります。
ライラックアンドレースの3番目の仔となるラッキーライラックは8月にデビューし、2連勝を飾ったうえで挑んだ阪神JFを勝利し、オルフェーヴル産駒で初となるG1タイトルを手にしました。
この年の秋のG1は外国人騎手がタイトルを網羅する中で、当時ラッキーライラックの主戦騎手だった石橋騎手が数少ない日本人のG1タイトルを手にしたことも逸話のひとつです。
最優秀2歳牝馬に選出されたラッキーライラックは3歳になってからもクラシック最有力候補でしたが一頭の怪物牝馬が立ちふさがりました。
その怪物牝馬の名前はアーモンドアイです。
オルフェーヴルと同世代のロードカナロアが奇しくも初年度産駒としてターフに送り出したアーモンドアイがラッキーライラックの前に立ち、クラシックタイトルを全て手中に収めました。
ラッキーライラックもクラシックを皆勤しましたが桜花賞2着、オークス3着、秋華賞7着と勝ち切るまでには至りません。
しかしながらライラックの花が再び開花したのは2019年からでした。
同期の女王不在とはいえ、秋のエリザベス女王杯を制すると暮れの香港ヴァーズでも2着に入選します。
2020年に入ってからは中山記念で2着に入選したのちに挑んだ大阪杯にて、同期のワグネリアンやブラストワンピースを完全に抑えて見事優勝しました。
デビューの頃から阪神と京都で結果を残し、牡馬相手にも活躍しているラッキーライラックが次に挑むのは春のグランプリである宝塚記念です。
古馬になって確実に力をつけたラッキーライラック。
再びーモンドアイと対決してほしいものです。
エポカドーロ 獲得賞金2億7,636万円
こちらもオルフェーヴルの初年度産駒です。2018年の皐月賞を制しました。
デビューから常に成績上位でしたが皐月賞では7番人気にまで評価を落とします。
しかしながら逃げ馬のハイペースに惑わされず自身のペースを貫き通し、人気馬が失速、不発する中、強い先行競馬で見事G1タイトルを手にしました。
続く日本ダービーでも外から強襲してきたワグネリアンにこそ差されましたが2着に入選し、春のクラシックを沸かせます。
しかし、エポカドーロはそこから不振に陥ります。
秋の初戦の神戸新聞杯は人気を裏切る4着、菊花賞もスローペースからの瞬発力勝負となり敗れました。
古馬になってからも結果を残せず、現時点で最後に走ったのは2019年の大阪杯。
陣営はその間もレースに向けて調整していたのですがエポカドーロがどうも調子が悪いようでレースに出られない状況が未だに続いているようです。
己の信念を貫く競馬を再びターフで見てみたいものです。
ジャスティン 獲得賞金1億1,496万円
短距離ダートで結果を残すジャスティンの主な勝鞍は大井競馬場で開催された交流重賞の東京スプリント杯です。
その前に走った千葉ステークスにて短距離ダートとしては極めて珍しい3馬身半差つけて完勝しました。
芝至上主義の日本競馬において、短距離ダートで活躍しているジャスティンはどうしても目立たない存在ではあります。しかし、現時点でのオルフェーヴル産駒の短距離ダート最強馬でしょう。
バイオスパーク 獲得賞金8,451万円
オルフェーヴル初年度産駒として一部の記者から注目されていた馬です。
期待に反して、大舞台では結果を残せていませんが、2020年の飛鳥ステークスで9番人気ながらも1着に入選しました。
続く大阪城ステークスでも低人気ながらも4着に入選しており、確実に力をつけている一頭だと思います。
シャインガーネット 獲得賞金6,125万円
2017年度産駒のシャインガーネットは2019年にデビューしました。
デビューから2連勝を飾って挑んだフェアリーステークスでは4着に敗れてしまいましたが続くファルコンステークスにて牡馬相手に見事優勝しました。
このファルコンステークスは重馬場開催でした。その中で結果を残しているのでパワーのある一頭でしょう。
開催前期に施行されるNHKマイルでの好走は厳しいかもしれませんが一雨降って馬場が渋れば面白い存在かもしれません。
メロディーレーン 獲得賞金3,610万円
主な勝ち鞍は1勝クラスと成績だけ見たらそこまで抜けた存在ではありませんがこのメロディーレーンはサラブレッドとしては非常に稀有な特徴を持っています。
それは、ものすごく小柄な馬なのです。
その馬体重は約340キロ。
馬体重が500キロ前後あるサラブレッドの中でけたたましく走るその姿は可愛いと評判で、多くのファンを集めています。
メロディーレーンは関係者によると牝馬ながらも父親譲りの強い心臓を持った馬でスタミナが豊富なようです。
200万円の追加登録料を払い、抽選を突破して挑んだ菊花賞ではなんと牡馬相手に5着に健闘しました。
古馬になってからも長距離を中心としたローテーションで活躍しています。
小柄な牝馬の大きな挑戦に多くの人が注目を集めています。
オルフェーヴル産駒の特徴、傾向
エリザベス女王杯を制したラッキーライラックやファルコンステークスを制したシャインガーネット、メロディーレーンの活躍を見る限りタフが求められる舞台で結果を残しています。
身体能力面で見るとスピードよりもパワー、スタミナの豊富な馬が多いといえるでしょう。
これは、オルフェーヴルの父であるステイゴールドの仔にもいえることで、オルフェーヴルはステイゴールドの仔らしく、パワーやスタミナを持つ馬を輩出しています。
また、オルフェーヴルが自我の強い馬の一頭ですが、その傾向は産駒にも現れています。
例えばラッキーライラックは牡馬相手にも粘り強い競馬をして結果を残しています。
皐月賞馬エポカドーロもG1を手にした皐月賞にて自分のペースを徹底したことで強い先行競馬を披露しました。
馬体重340キロのメロディーレーンに至っては自分よりも一回りも大きな馬たちの中で結果を残していること自体がハートの強さを物語っています。
牡馬、牝馬問わず全く動揺しないメンタルの非常に強い馬が揃っているのも特徴に挙げられるでしょう。
ところで、オルフェーヴルの特徴として第一に思い浮かべるであろう、気性の荒さを継いでいる馬は意外なほどいません。
オルフェーヴルが種牡馬デビューする際、その気性の荒さから一部の関係者からは
「仔にも(気性の荒さが)継がれるのか」
と心配されましたがG1馬であるラッキーライラックは非常におとなしいようですし、ラッキーライラック以外の産駒にも目立った気性の荒さは見られません。
オルフェーヴル産駒の成績
(2020年4月21日時点のデータです)
産駒数 571頭
中央での勝利数 219頭
重賞勝利馬 6頭
G1勝利馬 2頭
オルフェーヴル産駒の狙いどころ
産駒の活躍を見る限り、スピード勝負の舞台よりも力とスタミナが求められる舞台で結果を残している馬が多いでしょう。
距離でいうなら短距離よりも中・長距離のほうが合っています。
馬場も開幕週で顕著な高速馬場よりも開催後期のタフな馬場、もしくは雨の影響で重くなった馬場のほうが結果を残している産駒が多いです。
得意不得意がはっきりしている種牡馬なため馬券的には予想しやすいですね。
オルフェーヴルの父であるステイゴールドの仔もそのような傾向が強いため、ポストステイゴールドの感覚で馬券を検討してみてもいいかもしれませんよ。
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