父サンデーサイレンス×母エアグルーヴの超良血馬アドマイヤグルーヴ
競馬において血のロマンというのはとても意義があり、何代にも渡って残されてきた血統が、また新たなロマンを生み出すことは少なくありません。
2010年に父親サンデーサイレンス、母親エアグルーヴという超良血で誕生したアドマイヤグルーヴ。
当歳馬のセレクトセールでは、7000万円という高額からスタートするにもかかわらず、最終的には2億3000万円(税抜)で近藤利一氏によって落札されています。
値段もさることながら、父親のサンデーサイレンスは日本競馬界の常識を覆した種牡馬で、年間勝利記録や重賞勝利記録など、数々の記録を短期間で更新していきました。
母親のエアグルーヴはG1を2勝しており、牝馬ながら牡馬相手にも実力・人気ともに引けをとらず、当時のスターホースだった三冠馬ナリタブライアンやG1を4勝したマヤノトップガンらが引退した後も競馬界をリードし、1997には年度代表馬に選ばれました。
また、エアグルーヴの母であるダイナカールもG1を制しており、偉大な馬たちの血を受け継いだアドマイヤグルーヴにかかる期待は大きなものとなりました。
アドマイヤグルーヴはエリザベス女王杯を連覇するなど、G1を2勝・重賞を5勝して期待に応えます。
繁殖入りしてからのアドマイヤグルーヴは2011年までに5頭を産みますが、期待された活躍ができずにいました。
重賞すら掲示板に載るのがやっとという状態でした。
日本ダービー馬ドゥラメンテの誕生
しかし、2012年にキングカメハメハとの間に生まれた牡馬はドゥラメンテと名付けられ、2015年の皐月賞を豪脚で快勝し、続く日本ダービーをレースレコードで制しました。
このレコードは父のキングカメハメハとディープインパクトによるもので、ドゥラメンテがどれほど凄い脚を披露したかが分かります。
ドゥラメンテはその後骨折が判明し、三冠は断念します。
2016年も凱旋門賞を視野に入れていましたが、宝塚記念でゴール後にバランスを崩し、左前脚にハ行(馬の歩様に異常があること。)が見られ、今後のローテーションが白紙となりました。
アドマイヤグルーヴは2012年の10月に、胸部出血のためにこの世を去ってしまいます。
ドゥラメンテを出産してから約半年後のことでした。
アドマイヤグルーヴ産駒の距離適性
アドマイヤグルーヴ産駒は頭数が少ないですが、どの産駒にもバラバラなデータが残っており、短距離戦で戦った牝馬のアドマイヤセプター(父:キングカメハメハ)や同じく牝馬のアドマイヤテンバ(父:クロフネ)は中距離戦を主体に出走し、牡馬のアドマイヤトライ(父:シンボリクリスエス)は障害レースに出走するなどしています。
しかしながら、ラストクロップのドゥラメンテを始め、アドマイヤグルーヴ自身や母、祖母はクラシックディスタンスで活躍しており、アドマイヤグルーブ産駒の血は芝の中距離路線で活路を見出してくることが推測されます。
アドマイヤゲームへの期待
2014年にアドマイヤテンバから生まれた牝馬はアドマイヤゲームと名付けられ、近藤利一氏が所有しています。
父親はハービンジャーで2歳戦と3歳戦の芝では良績を残しており、芝2000mの中距離では複勝率30%を超えるなど、母系アドマイヤグルーヴとの相性は良さそうです。
アドマイヤゲームはアドマイヤグルーヴと同じ橋田厩舎に預けられる予定で、今後の活躍に期待がかかります。