Eskendereya (Castellano, Javier) 2009 Breeders' Cup Juvenile 出典:wikipedia
エスケンデレヤという馬をご存じでしょうか。恐らくほとんどの人が名前も耳にしたことがない馬かもしれません。
エスケンデレヤはアメリカ合衆国で生産された競走馬です。引退後はアメリカ国内で種牡馬入りしましたが、2016年に日本軽種馬協会がエスケンデレヤを購入します。
ちなみに日本軽種馬協会というのは種牡馬の繋養やセリ市のバックアップといった、種牡馬に携わる一連の業務をサポート、支援する団体のことです。
エスケンデレヤは日本に輸入後、北海道新ひだか町静内(しずない)のタイヘイ牧場にて種牡馬生活を開始し、2017年に初年度産駒が誕生しました。
アメリカの馬ということで日本人には馴染みがないエスケンデレヤ。はたして、現役時代にはどういった活躍をしたのでしょうか。
最初に現役時代のエスケンデレヤについてまとめます。その後、今後期待のかかるエスケンデレヤ産駒の特徴や成績、今後の展望についてまとめていきます。
エスケンデレヤの血統
冒頭でも触れたようにエスケンデレヤはアメリカ合衆国産駒です。2007年にケンタッキー州で生誕しました。
父ジャイアンツコーズウェイはアイルランドの生産馬。現役時代にG1タイトルを6つ獲得しました。母はアルデバランライトという馬でアメリカで5戦して3勝しました。
父の父はストームキャットなのでストームキャット系に属する馬、ノーザンダンサー系、ストームバード系の子系統になります。
現役時代のエスケンデレヤの成績
エスケンデレヤは2009年から2010年にかけて、年齢でいうなら2歳から3歳にかけてアメリカで走りました。エスケンデレアの通算成績は6戦4勝。
デビュー戦こそ2着に敗れてしまいましたが続く未勝利戦を勝利。その後は重賞戦であるブリーダーズカップ・ジュベナイルに出走しましたが9着に敗れてこの年のレースを終えます。
3歳の初戦に選んだ一般競走を勝ち切ると翌月に開催されたファウンテンオブユースステークス(G2)を勝ち切り、G1であるウッドメモリアルステークスを選択します。
ウッドメモリアルステークスは3歳牡馬G1の初戦ともいえるレースです。また、ケンタッキーダービーに続くレースという位置づけでもあり、日本のレースで例えるなら皐月賞にあたるレースなのです。エスケンデレヤは初のG1であるウッドメモリアルステークスを見事勝ち切りました。
そして、3歳牡馬の最高峰ともいえるケンタッキーダービーへ向かうために調整をされていましたが、ケンタッキーダービー開催日を目前として左脚に怪我が判明してし、ケンタッキーダービーを回避します。
そしてそのまま競走馬を引退することとなったのです。
アメリカで種牡馬生活を送っていたエスケンデレヤ
ウッドメモリアルステークスを勝ち切ったのを最後に競走馬を引退したエスケンデレヤは早速アメリカでシンジケートが組まれます。
初年度の種付け料は3万ドル。
アメリカのケンタッキー州にあるテイラーメイドファームにて種牡馬生活を送ることとなりました。
アメリカでは2014年から産駒がデビューしています。
2015年にはエスケンデレヤの仔であるモアスピリットがダート1700mのロスアラミトスフューチュリティ(当時G1、2019年にG2に降格)を制しました。また、イザベラジンクスがミセズリヴィアステークス(G2)を制していて産駒成績は上々で、種牡馬価値も高まりつつありました。
日本への輸入
このころ、日本軽種馬協会がエスケンデレヤに注目します。
注目したのにはいくつか理由がありますが、日本で溢れかえったサンデーサイレンス産駒の繁殖牝馬と合う可能性があるというのが一つの理由です。
また、諸説はありますが日本で2011年から2015年まで種牡馬生活を送っていたエンパイアメーカーの代わりとして輸入された説もあります。
これによりエスケンデレヤは日本軽種馬協会に購入され2016年から日本で種牡馬生活を営むことになります。
エスケンデレヤ産駒の種付け頭数、種付け料【2016年】
2016年に日本にやってきたエスケンデレヤはさっそく種付けの仕事に育みます。
2016年の種付け頭数は115頭。これは、エスケンデレヤを管理しているJBBAスタリオンの最多記録となりました。2017年のエスケンデレヤの種付け料は150万円に設定されました。
同年、エスケンデレヤの仔が誕生2019年から初年度産駒がデビューしています。
ダートで勝ち星!エスケンデレヤ産駒の成績
続々とデビューを果たしているエスケンデレヤ産駒。
2019年12月20日時点でエスケンデレヤ産駒の成績は芝が37戦0勝。ダートが53戦2勝となっています。
特別レース以上ではまだ勝利を収めていません。
そのうち2勝した馬はそれぞれウィーンソナタという馬とダイメイコリーダという馬です。
ウィーンソナタは新馬戦を中山のダート1200mを2着馬スターファイヤーに3馬身半差つけて快勝しました。この勝ちっぷりから次走、北海道の門別競馬場で開催されたエーデルワイス賞では3番人気に支持されましたが、12着に敗れてしまいました。
ダイメイコリーダのデビューは中京の芝戦でした。そのときは6着で、続く未勝利戦も9着に敗れています。デビュー3戦目でダート1800mに移行すると8番人気を覆す競馬を見せました。2着馬フレイムウィングスに3馬身差をつけて完勝し、初勝利を飾ります。続くオキザリス賞(1勝クラス)も10番人気の低評価でしたが2着に入選。その次のカトレア勝(1勝クラス)でも7番人気ながら3着に健闘しました。
エスケンデレヤ産駒の特徴!ダート、力強い馬場で好走傾向
先ほどお伝えしたウィーンソナタとダイメイコリーダの成績を見る限り芝よりもダートのほうが好走するイメージが強いです。このあたりは父親譲りの砂の血統が引き継がれているのでしょう。
距離に関してはウィーンソナタは短距離ダートを勝ち切り、ダイメイコリーダは中距離ダートを勝ち切っているため現時点では短距離でも中距離でもダートであれば走るイメージがあります。
馬場適正に関しては現時点ではなんともいえませんが、ダイメイコリーダが不良馬場のダートで好走しています。今後の産駒にもよりますが力強い馬場で好走する可能性もあるでしょう。
芝に関しては現時点で勝馬はいません。2着に入選した馬もいませんが、3着に入選した馬は3頭います。
スズカデレヤ
サイモンベラーノ
アベックフォルス
という3頭が現時点で芝で3着に入選した馬です。
1200m戦から1800m戦において活躍しています。
エスケンデレヤの今後の展望
父親がダート馬だった影響もあってか、全体的にダートで活躍しているイメージがあります。
馬場適正は未知数なところがありますが、未勝利ダートを制したダイメイコリーダが重馬場で馬券内に絡んでいます。
また、芝で3着に入選したアベックフォルスが重馬場の芝で3着に入選していることから芝・ダート問わずタフな馬場は好走できるかもしれません。
距離も現時点では短距離から中距離に掛けて結果を残しています。それ以上の距離はまだ未知数です。
恐らくは関係者の方々も芝よりダート適正を考えられていると思うので今後はダートでエスケンデレヤの仔を見る機会が増えるかもしれません。
貴重な非サンデ―サイレンス系の馬なので多くの繁殖牝馬と交配できますし、アメリカに帰国したエンパイヤメーカーの代わりとして、強いダート馬を輩出してほしいですね。それにより地方と中央の交流も増えてエスケンデレヤの知名度も高まりますしダート界が盛り上がるためにも頑張ってほしいですね。