みなさん、競馬をやっていて、「セン馬」という言葉を聞いたこと、見たことはありませんか?
あまり聞きなれない方もいるかもしれませんが、ここではセン馬とはどのような馬なのかを紹介していきたいと思います。
セン馬(騸馬)とは?
去勢手術を行った牡馬の事をセン馬(騸馬)といいます。
競馬ファンの皆さんは「馬=競走馬」というイメージをお持ちかと思いますけど、馬は競走馬になる以外にも乗馬や家畜用の馬、など様々な分野で活躍しています。
乗馬や家畜用の馬のほとんどは去勢手術を行ってセン馬になるのですが、わざわざセン馬にするのはなぜなのでしょうか?
ズバリ、気性の荒さを改善させて人間の言う事を聞かせるため、です。
競馬でも、気性難の馬は騎手の命令を無視する可能性が高く、レースで良い結果を残す事ができませんよね。
競走馬はレースでしっかりと結果を出す事が求められますから、気性難を解消する最終手段として去勢手術を選択する場合があるのです。
レースにおける有利不利は?牡馬・牝馬には見られない特徴
まず、気性が大人しくなりますから、騎手の命令に従順になり、レースで折り合いがつきやすくなります。
レースで折り合いを欠く馬は、余程の能力がない限り、活躍する事は難しいですからね。
騎手を替えたり、普段の調整方法を変えたり、ブリンカーなどの矯正馬具を装着させたり、と調教師はあらゆる手段を用いて気性難の克服に挑戦するのですが、全ての手段がダメだった場合は、オーナーの了解を得て、去勢手術に踏み切る事があります。
また、セン馬になると、女性ホルモンが増えていきます。
去勢手術後、しばらく経つと少しずつ牝馬らしい柔軟な筋肉を身に着けていき、歩幅が大きくなります。
競走馬は歩幅が広ければ広いほど有利に働きますから、競争能力のUPにもつながるのです。
セン馬は、気性難を克服するだけではなく、元々持っている牡馬特有の体力と運動神経に加えて、牝馬特有の柔軟な筋肉がプラスされます。
普通の牡馬や牝馬には備わっていない能力を身に着けているわけですから、言う事なしですよね。
でも、日本には極力去勢手術は避けないと…という意識が強く、セン馬の数は増えていません。
なぜ日本でセン馬が増えないのでしょう?
ズバリ、セン馬になってしまうと生殖能力を完全に失い、子供が産まれなくなる、という致命的なデメリットがあるからです。
日本の競馬は、あらゆる血筋を何代もつないでいく事で競馬文化を保ってきました。
ですので、なんでもかんでもセン馬にするのではなく、どんな策を講じても気性難が克服できない時にやむを得ず去勢手術をする、という考えが根付いている事もこの機会に覚えていただければ幸いです。
セン馬の活躍馬を紹介!
サウンドトゥルー(2010年生まれ)
現役のセン馬の中で最も活躍しているのがサウンドトゥルー。
2015年の東京大賞典(G1)を制するなど、ダートの地方交流重賞を中心に大活躍しています。
1800m以上のダートG1では全て3着以内、という安定した成績を残している事でも知られていますよね。
カレンミロティック(2008年生まれ)
2016年の天皇賞・春で1着・キタサンブラックと大接戦を演じ、強烈な印象を残したカレンミロティック。
8歳になっても衰えを感じませんし、大目標としているオーストラリアの伝統G1・メルボルンカップでの健闘も期待できますよね。
エリモハリアー(2000年生まれ)
筆者が最も印象に残っているセン馬はエリモハリアー。
G1で目立つ走りを見せたわけではありませんが、函館記念(G3)を3連覇(2005年~2007年)した事がある馬です。
2011年からは、重賞3連覇の偉業を達成した思い出の地・函館競馬場で誘導馬を務めています。
まとめ
(1)レースで折り合いがつきやすくなる
(2)歩幅が広がり、競争能力がUPする
(3)普通の牡馬・牝馬が持っていない能力が備わっている
出馬表でセン馬を見つけた時には、ここでご紹介した3つの特徴を思い出して、予想に活用してみてくださいね。
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