毎年、開催されるごとに話題となるセレクトセールですが、どの時期にどこで行われているのでしょうか。そして私たち一般のファンは見学することができるのでしょうか。
今回は、競走馬のセレクトセールについてご紹介してます。
セレクトセールとは
セレクトセールとは正式名称「JRHAセレクトセール」といい、日本競走馬協会（JRHA）が主催する日本最大の競走馬のセリ市で、その取引金額は世界最大級となっています。
セレクトセールは1998年に始まり、毎年7月の前半に北海道苫小牧市にあるノーザンホースパーク内の会場で行われます。そこでは当歳（0歳）馬の部、1歳馬の部のセリが行われます。
世界中を見ても、まだまだ将来どうなるか分からない当歳馬のセリ市が行われていることはほとんどなく、ここ数年は当歳馬のセレクトセールの最高落札額が、その年の世界最高落札額になることが多くなっています。
またJRHAは、社台グループが中心となって作られた協会のため、会場がノーザンホースパークとなっています。また、セレクトセールに上場される馬も社台グループの牧場で生産された馬が数多く上場されているのが特徴です。このため「社台のセリ市」とも言われています。
歴代の高額落札馬
トゥザヴィクトリーの2006
父：キングカメハメハ
母：トゥザヴィクトリー
落札額：6億円
父が日本ダービーを勝ったキングカメハメハ、母がエリザベス女王杯を勝ち、ドバイワールドカップでも2着に好走した名牝トゥザヴィクトリーという良血のこの馬は、ダーレーとグローブエクワインマネージメント(有) の一騎打ちになり価格が高騰しましました。
結果、グローブエクワインマネージメント(有)が6億円で落札し、当歳馬の最高取引額を叩き出し、今もその記録は破られていません。
その馬はディナシーという名前でJRAに競走馬登録されますが、結局デビューすることなく引退をすることになってしまいます。
もちろん、競走馬としてレースに出走するだけでなく、引退後に種牡馬や繁殖牝馬となっての活躍を見越した金額も加味されてのセリでは取引されますが、この馬については種牡馬としても期待できる牡馬ではなく牝馬だったので、この金額に疑問視する声も多く出ました。そして、2019年の10月現在、このディナシーの子どもは通算7頭誕生していますが、すべての馬の獲得賞金を合わせても5千万円にも達していません。
また、ディナシーの兄弟にあたるトゥザグローリー、トゥザワールド、トーセンビクトリーと3頭も重賞の勝ち馬を出しているだけに、この馬を落札してとんだ外れくじを引かされてしまった形になってしまいました。これも競馬の難しさです。
イルーシヴウェーヴの2017
父：ディープインパクト
母：イルーシヴウェーヴ
落札額：5億8000万円
2017年の当歳馬のセールで話題になったのが、このイルーシヴウェーヴの2017です。
当歳馬史上2位の5億8000万円でアドマイヤの冠名でおなじみの近藤利一氏によって落札されました。きょうだい馬は京都新聞杯3着のサトノソロモンぐらいしか出ていないので、実績はそれほどありませんが、この高額馬がどこまで活躍するか非常に楽しみです。
2019年で2歳を迎え、JRAにもアドマイヤビルゴという名前ですでに競走馬登録をされているので、デビューする日は遠くなさそうです。
セレクトセール出身のGⅠ馬
セレクトセール出身の馬でGⅠを制した馬は数多くいますが、ここでは総獲得賞金が10億円を超えた3頭をご紹介します。
ディープインパクト
父：サンデーサイレンス
母：ウインドインハーヘア
落札額：7000万円
総獲得賞金：14億5455万円
主な勝ち鞍：2005 皐月賞（GⅠ）
2005 日本ダービー（GⅠ）
2005 菊花賞（GⅠ）
2006 天皇賞・春（GⅠ）
2006 宝塚記念（GⅠ）
2006 ジャパンカップ（GⅠ）
2006 有馬記念（GⅠ）
日本の競馬の歴史を変えたディープインパクトもセレクトセール出身馬です。
ディープインパクトの活躍がこのセレクトセールでの価値を上げ、競馬関係者からの信頼をさらに厚いものになりました。そして、今のセレクトセールでの高額落札馬はこのディープインパクト産駒がほとんどとなっています。
アドマイヤムーン
父：エンドスウィープ
母：マイケイティーズ
落札額：1600万円
総獲得賞金：11億8773万円
主な勝ち鞍：2007 ドバイデューティフリー（GⅠ）
2007 宝塚記念（GⅠ）
2007 ジャパンカップ（GⅠ）
1600万円と比較的安い金額で落札されたアドマイヤムーンですが、1着賞金の高いGⅠレースを勝ち、獲得賞金が10億円を超えました。
サンデーサイレンス系の種牡馬が多くなったいま、フォーティナイナー系のこの馬の血脈は今の日本競馬界に貴重になっています。
ゼンノロブロイ
父：サンデーサイレンス
母：ローミンレイチェル
落札額：9000万円
総獲得賞金：11億3565万円
主な勝ち鞍：2004 天皇賞・秋（GⅠ）
2004 ジャパンカップ（GⅠ）
2004 有馬記念（GⅠ）
GⅠ3勝を含む重賞5勝をあげたゼンノロブロイは、その他にもGⅠでの2着が4回、GⅠでの3着が3回と、大舞台で息の長い活躍を続けました。
また、イギリスのインターナショナルステークスにも挑み（2着）、ファンを楽しませてくれました。
関係者以外でもセレクトセールを見学することはできる？
残念ながら競馬関係者以外は原則、セレクトセールの見学はできなくなっています。
そのかわり、セリ市の様子がグリーンチャンネルで生中継されておりテレビ中継でその様子を見ることができます。また近年ではUstreamやニコニコ生放送での視聴も可能になっています。
ただ、例外としてパンプキントラベル（東京都）によるツアーだと、セレクトセールの見学も可能とのことです。どうしても現地でセレクトセールの模様を見学してみたい人は、このツアーに申し込みてもいいかもしれません。
（参考）2019年のツアー情報
https://uma-furusato.com/topics/select2019/
まとめ
今回は毎年7月に行われているセレクトセールについてのご紹介しました。
一般の方のセレクトセールへの参加は敷居の高いものになっていますが、各メディアでその模様を観ることはできます。
毎年、セレクトセールで落札された競走馬たちが重賞戦線を賑わせてくれているので、落札馬の情報を確認し、いち早く次世代のGⅠ馬を探してみるのも面白いかもしれません。
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