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名馬と呼ばれる馬には、デビューから圧倒的な強さを誇る名馬もいますが、ライバルとの名勝負で経験を積みながら名馬になる馬もいます。
今回は1998年・ダービー馬のスペシャルウィークの誕生から競走馬時代を中心に最後までを紹介します。
スペシャルウィークの血統と父親と母親の特徴
スペシャルウィークの血統
父:サンデーサイレンス
母:キャンペンガール
誕生日:1995年5月2日
性別:牡
毛色:黒鹿毛
名前の意味:特別の週
スペシャルウィークの父親・サンデーサイレンス
スペシャルウィークの父親のサンデーサイレンスは、1995年~2007年までリーディングサイアー1位として日本の競馬を大きく進歩させた種牡馬です。
JRAの現在のリーディングサイアー1位のディープインパクトもサンデーサイレンスの仔ですが、他にもGI級の競走馬を多く輩出しています。
スペシャルウィークの母親・キャンペンガール
スペシャルウィークの母親であるキャンペンガールは、スペシャルウィークを産んで5日後に死亡してしまいました。
ちなみに以前、地方競馬にキャンペーンガール(Campaign Girl)という英語表記では同じ名称の競走馬がいましたが、スペシャルウィークの母親とは全く関係がありません。
スペシャルウィークの誕生
1995年5月5日に北海道門別町にある日高大洋牧場で誕生したスペシャルウィークですが、生後5日目で実母のキャンペンガールが死亡をしたので別の馬に育てられました。
牧場時代のスペシャルウィークは、他の馬との生活よりも1頭でいることが多く、人なつっこい性格でした。
1997年のスペシャルウィーク戦績(3歳)※現在の2歳
1997年戦績:1戦1勝
デビューが11月後半で早くなかったこともあり、12月の3歳GIには間に合わず、3歳時はデビュー戦の1戦のみとなりました。
1998年のスペシャルウィーク戦績(4歳)※現在の3歳
1998年戦績:8戦4勝
4歳になると1月に京都競馬場の白梅賞で単勝1.3倍という断然の1番人気で出走しましたが、まさかの2着に敗れます。
1月中に同クラスのつばき賞で除外となってしまい仕方がなく翌週に行なわれる、きさらぎ賞に格上挑戦をすることになりました。
格上挑戦ながら1番人気に応えて、きさらぎ賞を見事勝利したスペシャルウィーク。これが初の重賞制覇となりました。
そして次走、皐月賞の前哨戦でもある弥生賞にチャレンジすることになります。
弥生賞は、セイウンスカイやキングヘイローといった強敵との戦いになりましたが、ここでも2番人気で1着となりいよいよクラシックが見えてきました。
万全の状態で挑んだ皐月賞は、馬場状態や枠順から考えられる展開の不利もあって、セイウンスカイに敗れただけでなく3着に終わっています。
クラシック2戦目の日本ダービーでは1番人気に推されました。結果は、人気に応え5馬身差で勝利し、武豊騎手に初のダービー制覇をプレゼントする結果になりました。
秋は京都新聞杯から始動して、順調に菊花賞に向かいましたが、セイウンスカイに敗れてしまいます。
続くジャパンカップは騎乗停止の武豊騎手に代わった岡部騎手との初コンビで挑みましたが、エルコンドルパサーに敗れてしまいGIはダービーのみとなりました。
1999年のスペシャルウィーク戦績(5歳)※現在の4歳
1999年戦績:8戦5勝
5歳になり初戦を初コンビとなるペリエ騎手とAJCCに挑み重賞制覇をすると、続く阪神大賞典で武豊騎手と共に昨年の覇者メジロブライトに勝利をしました。
本番の天皇賞・春では、ステイヤータイプのメジロブライトに阪神大賞典に続き勝利を収めて2つめのGI獲得に成功します。
宝塚記念の結果次第では、凱旋門賞も視野に入れた予定も考えられましたが、グラスワンダーに3馬身差をつけられて完全な敗北となり凱旋門賞は取りやめとなりました。
休養明けの秋初戦となった京都大賞典では、1番人気でまさかの7着に敗れてしまいましたが、皇賞・秋では身体を絞って挑むことになります。
体重減には賛否両論がありましたが、スペシャルウィークの最も良かったダービー制覇時期の体重まで絞ることで復活を期待することにしました。
レースは、ステイゴールドに競り勝ちコースレコードで天皇賞・秋を勝ち春・秋連覇で昨年悔しい思いをしたジャパンカップに出走します。
ダービーと同じ東京芝・2400mで行なわれるジャパンカップは、スペシャルウィークにとっては最も良い距離です。
ジャパンカップは、海外の強豪馬を抑えて1着となったことで、GI連勝の勢いのまま引退レースとなる有馬記念に向かいます。
有馬記念は宿敵・グラスワンダーとの戦いですが、共に後方に控える直線勝負の展開になりました。
お互いに相手は1頭しかいないと思わせるような武豊騎手と的場騎手の駆け引きの中レースは最終コーナーへと向かいます。
予想通りグラスワンダーとスペシャルウィークの壮絶な直線勝負は、写真判定の結果わずかにグラスワンダーの勝利となりました。
レース後に的場騎手は交わされたと思う程の接戦で、勢いは明らかにスペシャルウィークが勝っていました。
スペシャルウィークのレース戦績
最終成績:17戦10勝
GI勝利
・日本ダービー 武豊騎手
・天皇書・春 武豊騎手
・天皇賞・秋 武豊騎手
・ジャパンカップ 武豊騎手
永遠のライバル、世代の最強馬達!スペシャルウィークとグラスワンダーの関係!?
スペシャルウィークが名馬となった理由のひとつに強烈な個性のあるライバル達の存在があります。
ここでは、スペシャルウィークのライバル達の紹介と名勝負と言われているグラスワンダーとの関係などを説明していきます。
スペシャルウィークの同世代ライバルは、数多くの名馬が存在しますが、中でもセイウンスカイ・エルコンドルパサー・グラスワンダーは外せないライバルです。
スペシャルウィークが名馬と呼ばれるだけの競走馬になったのも彼らの存在なしでは、実現できなかったかもしれません。
まずは、スペシャルウィークとライバル達の直接対決の結果を見てみましょう。
スペシャルウィークVSセイウンスカイ
・1998年3月8日 弥生賞・GII 中山 芝・2000m
スペシャルウィーク 1着
セイウンスカイ 2着
・1998年4月19日 皐月賞・GI 中山 芝・2000m
セイウンスカイ 1着
スペシャルウィーク 3着
・1998年6月7日 日本ダービー・GI 東京 芝・2400m
スペシャルウィーク 1着
セイウンスカイ 4着
・1998年11月8日 菊花賞・GI 京都 芝・3000m
セイウンスカイ 1着
スペシャルウィーク 2着
・1999年5月2日 天皇賞(春)・GI 京都 芝・3200m
スペシャルウィーク 1着
セイウンスカイ 3着
・1999年10月31日 天皇賞(秋)・GI 東京 芝・2000m
スペシャルウィーク 1着
セイウンスカイ 5着
スペシャルウィークVSエルコンドルパサー
・1998年11月29日 ジャパンカップ・GI 東京 芝・2400m
エルコンドルパサー 1着
スペシャルウィーク 3着
スペシャルウィークVSグラスワンダー
・1999年7月11日 宝塚記念・GI 阪神 芝・2200m
グラスワンダー 1着
スペシャルウィーク 2着
・1999年12月26日
グラスワンダー 1着
スペシャルウィーク 2着
スペシャルウィーク 4勝VS セイウンスカイ 2勝
スペシャルウィーク 0勝VS エルコンドルパサー 1勝
スペシャルウィーク 0勝VS グラスワンダー 2勝
数字だけを見るとスペシャルウィークは、エルコンドルパサーとグラスワンダーには勝ったことがありません。
彼らのレベルが高いのは、全レース共通で勝った方が確実に1着になっていることだと思います。
スペシャルウィークとグラスワンダーの有馬記念
グラスワンダーとの有馬記念はまさに名勝負と言える素晴らしいレースですが、グラスワンダー騎乗の的場騎手は負けたと思ったそうです。
双方共に人気も実力も圧倒はしていたものの多頭数の中山競馬場だけに後方からのレースは多くのファンを「ドキドキ」させたと思います。
スペシャルウィークと武豊騎手は、最後方からグラスワンダーをマークする形でゆっくりとついている感じに見えました。
共に外をまわる展開ながら、直線でしっかりと前をとらえることに成功すると最後はクビの上げ下げでの決着となりました。
武豊騎手は差しきったと思いながらウィニングランをするつもりが、まさかの写真判定での2着となっています。
スペシャルウィーク、グラスワンダーと函館競馬場にて再会
2014年共に種牡馬となって久々の再会を函館競馬場で果たしましたが、前日にスペシャルウィークがグラスワンダーを威嚇してしまったために当日は別々に登場となりました。
先にお披露目となったスペシャルウィークは19歳とは思えないほどの素晴らしい馬体をファンの前に披露をしました。
後から登場をしたグラスワンダーは、馬っ気が出てしまったこともあり元気な姿の中にも何かしまらない姿をみせることになります。
本来は2頭が並んで記念写真というのが、競馬ファンの希望だと思いますが、スペシャルウィークが威嚇をしてしまうので、危険を考慮して離れてのお披露目となりました。
スペシャルウィーク産駒の特徴や実績!
スペシャルウィークの引退後は当然のように種牡馬としての期待が高まることになりましたが、リーディングサイアーは最高位が7位で引退となっています。
スペシャルウィーク産駒のGI獲得馬!
2002年生まれ シーザリオ
・オークス
2006年生まれ ブエナビスタ
・阪神ジュベナイルフィリーズ
・桜花賞
・オークス
・ヴィクトリアマイル
・天皇賞(秋)
・ジャパンカップ
2011年生まれ トーホウジャッカル
・菊花賞
この他にも地方競馬やJRA重賞獲得馬は多数存在します。
スペシャルウィーク産駒の特徴
スペシャルウィーク産駒には、中央競馬でGI制覇をした競走馬もいますが、地方競馬での活躍が目につきます。
スペシャルウィーク自身は基本的に芝でのレースばかりでしたが、地方競馬で活躍ができるということは、ダート適正の高い産駒も少なくなかったことになります。
また、スペシャルウィークは夏場に弱いこともあり、現役時代の夏場は北海道の涼しいところで暑さをしのいでいました。
産駒を見ると極端に夏場に強いというイメージはありませんが、特に夏が苦手という産駒も多くはないようです。
スペシャルウィークのこれまでの産駒で配合成功例と言えば、ビワハイジとの産駒であるブエナビスタが最高の産駒です。
・ブエナビスタの主な成績
生涯成績:23戦9勝(9.8.3.3)
GIレース獲得順:
阪神ジュベナイルF
桜花賞
オークス
ヴィクトリアマイル
天皇賞・秋
ジャパンカップ
ブエナビスタは、降着により牝馬三冠こそ獲得できませんでしたが、敗れても強い競馬をする牝馬なので競馬ファンからの指示も多い名馬になりました。
2018年現在のスペシャルウィーク産駒現役馬(JRA所属)
2018年現在スペシャルウィーク産駒のJRA所属馬は16頭となっていますが、残念ながら16頭の中にGI級の馬はいません。
2016年生まれのJRA所属は6頭ですが、デビュー前とまだ未勝利なので、早い時期の勝利が期待されるところです。
同じサンデーサイレンス系の種牡馬の中でもディープインパクト産駒のように常に上位を狙える産駒が多いタイプもいますが、スペシャルウィークは不安定というのが本音です。
2018年4月27日 スペシャルウィークの死亡
スペシャルウィークは2017年に種牡馬を引退して、生まれ故郷の北海道で余生をすごしていました。
2018年4月23日に放牧中の転倒で左腰を強く打ったこともあり経過観察をしていましたが、馬房内で再び転倒をしてしまい4月27日に死亡が確認されました。
まとめ
今回は、スペシャルウィークの現役時代の活躍を中心に多くのライバル達との死闘なども紹介しました。
スペシャルウィークは名馬に違いはありませんが、古くはシンボリルドルフや近年ではディープインパクトのような完全な王者ではありません。
クラシックもセイウンスカイが皐月賞と菊花賞を獲得していますし、ライバルのグラスワンダーやエルコンドルパサーには勝てたことがありません。
それでもスペシャルウィークは天才武豊騎手のダービー初制覇を共に勝ち取り、引退後も多くのファンから愛されていた馬だったと思います。