牝馬とは?
そもそも牝馬とは、「ひんば」と読みます。
よく、「おんなうま」や初心者の方だと「めすうま」と言ったりもしますが、競馬用語としての正式名称は「牝馬(ひんば)」です。
「おんなうま」と言われる通り、性別的には女性になります。牝馬は現役生活を引退すると、子どもを出産するために「繁殖牝馬」として次なる仕事を務める場合が多いです。
牝馬の特徴、見分け方
牝馬の見分け方は、両後ろ脚の間に注目していただければ分かります。
牝馬には牡馬のような生殖器がありませんので、ちょっと変な言い方ですが、股を覗いてみて何もなければ牝馬です。
牝馬の体つきは人間の女性と似ており、比較的小柄な馬や線の細い馬が多い傾向にあります。
とはいえ、競走馬は普通の馬と違って人間でいうアスリートですから、中には牡馬とそん色ないくらい雄大な馬体を持った馬もたくさんいます。
牡馬に比べると、牝馬の方が成長が早い傾向にあり、だいたい4~5歳で現役を引退します。
性格的には、やや神経質なタイプの馬が多いかもしれません。
牡馬との能力差はどれくらい?
競馬のレースでは、人間のように男女で分けられているレースとそうではないレースがあります。
牝馬には「牝馬限定」というレースがあり、文字通り牡馬は出走できないレースがあります。
その点からも分かるように、どうしても牡馬に比べると牝馬の方が能力的には劣る傾向にはあります。例えば国内最高峰グレードのG1レースで、牡馬・牝馬混合のレースはいくつかありますが、勝ち馬の半数以上は牡馬です。
牝馬三冠レース
競馬の世界では2歳でデビューを迎え、3歳、4歳と年を重ねていきます。この中で、3歳馬と4歳以上の馬で出走できるレースが分かれています。
イギリスのクラシック競走を模して創設された3歳馬のみ出走可能なG1レースを「クラシックレース」と呼びます。
牝馬のクラシックレースは、桜花賞・優駿牝馬(オークス)の2レースが該当します。秋華賞はイギリスのクラシック競走に相当するレースがないため、クラシックレースとは呼ばれません。
3歳の時しか出走できないので、競馬関係者も特別な思いをもって挑戦するレースと言えます。
桜花賞
第一弾の桜花賞は毎年4月に阪神競馬場で開催されるレースです。舞台となる阪神競馬場の芝1600mは別名「マイル」と呼ばれる距離で、スピードと瞬発力が求められるレースと言われています。
優駿牝馬(オークス)
クラシック第二弾となる優駿牝馬(オークス)は、「競馬の祭典」と呼ばれる日本ダービーと同じ芝2400mが舞台となります。
このレースに出走する馬の中で、それまでに芝2400mを走ったことのある馬はいません。なぜなら、オークスより前に芝2400mのレースが無いためです。
そのため、出走するすべての馬にとって未知の距離であるため、騎手の技術も問われる1戦となります。
秋華賞
牝馬三冠の最終レース、秋華賞は毎年10月下旬に京都競馬場で開催され、芝2000mの舞台で競います。
3歳馬はひと夏を越すと急成長する馬も数多くいます。つまり、春の桜花賞や優駿牝馬(オークス)では出走すら叶わなかった馬が力を付けて出走してきたり、春に敗れた馬が成長して打ち負かしたり、様々なドラマがあるレースです。
こうして繰り広げられる牝馬クラシックレース(+秋華賞)ですが、これらすべての3レースを勝利する馬を「牝馬三冠馬」と呼びます。
まさに、同世代において敵なし、世代の女王として君臨します。
牝馬三冠馬
これまで日本の牝馬三冠馬は4頭います。
初代から順に、メジロラモーヌ、スティルインラブ、アパパネ、ジェンティルドンナの4頭です。
初代の牝馬3冠に輝いたメジロラモーヌは1986年に桜花賞、優駿牝馬(オークス)、エリザベス女王杯を制し、日本の競馬史上、初の牝馬三冠となりました。
※この当時は秋華賞がなかったため、秋のエリザベス女王杯がクラシック3冠レースでした。
2代目の牝馬3冠馬はスティルインラブ。スティルインラブは2003年に達成し、秋華賞が牝馬三冠レースの対象となってから初めての牝馬3冠馬となりました。
3代目のアパパネは2歳の時にもG1レースの阪神ジュベナイルフィリーズを制しており、まさに「4冠」ともいえる活躍を見せました。なお、アパパネが制した優駿牝馬(オークス)では、もう1頭サンテミリオンという馬と激闘の末、クラシックレースとしては初めての同着で2頭のオークス馬が誕生したレースでもありました。
4代目のジェンティルドンナは、後にジャパンカップ、有馬記念という牡馬も混じったビッグレースも勝利するほどの実力を持ち、中でもジャパンカップは2012年・2013年と連覇を成し遂げました。ジャパンカップを連覇した馬は牡馬を含めてもおらず、史上初の快挙となりました。
牝馬最強世代は?
ここまで牝馬についていろいろお話してきましたが、最後に私が選ぶ牝馬最強世代をご紹介したいと思います。
たくさんあって絞り切れませんが、あえて挙げるとすれば、それは2007年ではないでしょうか。
2004年生まれのダイワスカーレットとウオッカ
この世代の3歳馬は「華麗なる一族」と例えられる血統を持ったダイワスカーレットと、後に牝馬として64年ぶりの日本ダービーを制覇するウォッカの2頭が運命的に同じ年に生を受けた世代です。
この2頭は当然デビュー前から注目されており、話題となっていました。
ダイワスカーレットは2歳にデビュー2連勝を飾って評判通りの活躍を見せると、3歳に入って牡馬との混合重賞レース、シンザン記念に挑戦。わずかの差で2着に敗れたが、存在感を示しました。
一方、ウォッカはデビュー戦を勝利すると、3戦目で同世代最初のG1レース、阪神ジュベナイルフィリーズに挑戦。見事にレコードタイムで勝利し、同世代で1歩先に出ました。
3歳になり、牝馬クラシックレース第一弾の桜花賞に向けた前哨戦、チューリップ賞で2頭が初対決をすることになりました。最後の直線ではダイワスカーレットがウオッカとマッチレースを望むかのようにウオッカをひきつけたが、これをウォッカがクビ差交わして勝利。3着とは6馬身差をつけ、この2頭の力が抜けていることを示す結果となりました。
桜花賞
そして迎えた牝馬クラシックレース第一弾の桜花賞。ダイワスカーレット陣営は、チューリップ賞での敗戦で瞬発力勝負では分が悪いと判断。大外の18番枠から発走となった桜花賞では直線で早めに抜け出す積極策を取り、ウオッカの追撃を抑えて優勝。クラシック第一弾はダイワスカーレットが勝利を飾りました。
優駿牝馬(オークス)
続くレースは優駿牝馬(オークス)。しかし、この世代は何かが違いました。まず、桜花賞を制したダイワスカーレットが発熱を起こしてしまったため、レースの出走を回避。
ウオッカ、異例の日本ダービーへ
そして、一方のウォッカはというと…
なんと牝馬としては異例の日本ダービーへの挑戦を決定しました。
出走するだけでも例が少ない牝馬の日本ダービー。しかしそれまでのパフォーマンスから決して勝つことも不可能ではないと考えられていた半面、やはり牝馬に日本ダービーは難しいという見方も多かったです。
レースでは馬群の中団で虎視眈々と追走。そして最後の直線、父タニノギムレットもダービー馬であるが、その父を思い起こさせるような力強い走りを見せ、見事64年ぶりに牝馬として日本ダービーを制覇しました。
伝説のレース、2008年天皇賞・秋
その後も数々のビッグレースで相対した2頭だが、牡馬をも退けてこの2頭の力強さを示したレースがあります。
それが、2008年の第138回天皇賞・秋です。
このレースにはダイワスカーレットとウォッカの2頭はもちろん、その年のダービー馬ディープスカイ、ダービーではウォッカの2着に敗れたが、後に菊花賞を勝利したアサクサキングス、有馬記念を制覇したドリームジャーニーらが出走していました。
スタートすると、レース前から逃げると予想されていたダイワスカーレットが先頭に立ち、そのまま他馬を引き離していきました。ディープスカイが6番手、 1番人気に推されたウオッカは直後の7番手に付けます。前半の1000m通過は58秒7と比較的速いペースとなりました。
最後の直線、逃げ粘るダイワスカーレットを外側からディープスカイ、さらに大外からウオッカが交わしにかかり、残り200m付近でウオッカとダイワスカーレットが並んだものの、流石にスタミナが尽きたのか、ダイワスカーレットが一旦後退します。
しかし、ここでダイワスカーレットは終わりませんでした。再び伸びを見せるとウオッカの前に出ます。
これに再び並び掛けたウオッカとダイワスカーレットの馬体が内外で完全に重なった位置がゴール。
レースが終わっても、ウォッカ、ダイワスカーレットはどちらもウイニングランは行わず、場内の雰囲気もどちらが勝ったか全くわからないという状況でした。
そして、レースが終了してから13分後、ついに場内の着順掲示板が表示され、ウオッカが1着、ダイワスカーレットがハナ差の2着で確定しました。
G1レースにおいてこれほど僅差になること自体もそう多くはないですが、牡馬も一流馬が集う天皇賞という舞台でこれほどまでに牝馬2頭が激闘を繰り広げたレースは珍しいことでしょう。
まとめ
競走馬の中で「牝馬」というテーマについてお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。
特にクラシックレースは毎年盛り上がるレースですし、最近では牝馬が牡馬も混じったG1レースを勝利することも増えてきて、牝馬の活躍が注目されていますね。
牡馬についての記事もご覧ください。
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