競馬新聞を見ていると、予想家の印で【◎本命・○対抗・▲単穴・△連下・×大穴】などとよく付けられていますが、穴馬はこの印のなかで、どれに当てはまるのかといつも思います。
穴馬とは人気を落としているにも関わらず馬券圏内に入着して、高額配当に繋がる馬のことを言います。
条件戦(かつての500万下・現1勝クラス、未勝利戦など)では出走馬のデータが少なく、万馬券がよく出たりしますが過去の戦績が豊富なGⅠクラスのレースでも簡単に万馬券が出たりします。
ここでは重賞レースにおける穴馬の要素について考えてみましょう。
穴馬に共通する要素とは?
2020年3月時点で春のG1シーズンが本格的に幕を開けます。
昨年のG1は比較的固く決まる傾向が強かったものの荒れたレースも中にはありました。
例えば高松宮記念で2着だったセイウンコウセイは2017年の同舞台の勝ち馬であるにも関わらず18頭立ての12番人気、オークスで2着のカレンブーケドールも18頭立ての12番人気、そして令和初のダービー馬であるロジャーバローズも12番人気でした。
なぜ、この3頭は人気がなかったのでしょうか?
お伝えしたようにセイウンコウセイは2017年の高松宮記念を制した馬ですしそれ以外にも函館スプリントステークスを制している馬で、重賞・G1問わず大舞台で活躍できる力を持っていました。
しかしながらG1を手にした馬にもかかわらず、好走と凡走を繰り返す馬でした。
特に2018年の函館スプリントステークスから2着に入選した高松宮記念の間で使われた3戦はいずれも二桁着順と、ファンの期待を大きく裏切る結果となってしまいました。
このため、かつての高松宮記念の勝利はフロックと呼ばれるほどで、G1馬にもかかわらず多くの人が見離したのです。
次に令和初のオークスとダービーにて波乱を演出したカレンブーケドールとロジャーバローズを見てみましょう。
そもそもクラシックレースで人気する馬はトライアルレースで強い競馬をした馬が脚光を浴びる傾向が強いです。
トライアルレースとは古馬でいうステップレースのことで桜花賞で例えるならチューリップ賞やフィリーズレビュー、皐月賞でいうなら弥生賞やスプリングステークスが該当します。
カレンブーケドールとロジャーバローズはデビューからクラス戦においては上々の成績でしたがステップレースで躓いたことで人気を落としてしました。
しかし蓋を開けてみればカレンブーケドールはラヴズオンリーユーに僅差の2着。ロジャーバローズに至っては12番人気で勝ち切ってしまうこととなりました。どちらも単勝オッズ90倍台と誰が見ても納得の穴馬となりました。
クラシックを沸かせた2頭と高松宮記念で2着のセイウンコウセイが好走できた要因はレースの展開が向いたこと、そしてそれまでの戦績は決して悪いものではなかったということでしょう。
人気薄ながらも実績があり、レース展開がハマった3頭
セイウンコウセイがはまった3つの要因
セイウンコウセイが高松宮記念2019においてG1馬としての意地を多くの人に見せつけたのは記憶に新しいでしょう。
セイウンコウセイが昨年の高松宮記念で好走した理由は3つあげられます。
まずは舞台適正の合致でしょう。
セイウンコウセイは函館スプリントステークスを制したときのようにタフな馬場を得意としていますがその反面、昨年の高松宮記念のような時計の出る馬場でも好走するオールラウンダーな馬です。
特に中京の芝1200mは所々に勾配があり、小倉の芝1200mみたいに終始下り坂のレースではないためスピード一本調子というわけではありません。
スプリンターホースは終始ハイペースな競馬を得意とする馬もいれば、後方一気で勝負に出る馬もいるように個性が特に大きく分かれるのですが中京の芝1200mは総合力の高さが求められるのです。
セイウンコウセイは尖った長所はありませんが元々のポテンシャルが高く安定したスピード、パワーを持ち合わせていてバランスの取れた馬なのです。そのバランス型のセイウンコウセイが総合力が求められる中京との相性がよかったことは間違いないでしょう。
2つ目の要因は自身が勝利を手にした2017年の高松宮記念に比べて2019年の高松宮記念は相手関係が楽だったことがあげられます。
セイウンコウセイが制した2017年の高松宮記念は2着馬がスプリントG1で3度2着入選することになるレッツゴードンキ、3着馬がスプリンターズステークスを連覇することとなるレッドファルクスでした。
対して2019年の高松宮記念の有力馬はG1を手にしていないダノンスマッシュやモズスーパーフレアでした。
パッと見ただけでも短距離実績が複数頭そろった2017年のメンバーのほうが強いと感じるのではないでしょうか。
レッドファルクスやレッツゴードンキが出馬した2017年の高松宮記念と比べると2019年の高松宮記念の相手は楽で、6歳と競走馬のピークを過ぎつつあるセイウンコウセイにとっても相手関係は楽でした。
それだけでなく、2019年の高松宮記念は有力馬が苦しい条件下だったことも好走要因にあげられます。
2019年の高松宮記念において優勝候補の一角だったダノンスマッシュは直線で前が壁になってしまい非常に苦しい展開となります。
もう一頭のモズスーパーフレアは前走オーシャンステークスを勝ち切って人気の一角に浮上しました。
しかし、モズスーパーフレアは高松宮記念までの間、1か月間隔くらいのペースでレースで使われてきました。高松宮記念に向けても調教をびっしり積み重ねられたことがかえって疲れを溜めてしまうこととなり、パドックでは見栄えとしませんでした。
このように有力馬がそろって万全でなくレースで出し切れなかったことがかえってセイウンコウセイを2着に導いた要因であるといえます。
3つ目の好走要因は中京芝1200mにおいて有利といわれる内枠を引けたことでポテンシャルをフルに発揮できたことです。
実際に2017年の高松宮記念は馬番6番を引いて勝利を掴んでいますし2019年の高松宮記念においても馬番4番から好走しています。
舞台適正と枠番がセイウンコウセイにとって出し切れる要素を見い出し、出し切ったら上位争いできる相手関係だったのが2019年の高松宮記念なのです。
前走データが結果的にカレンブーケドールを穴馬に推した
次にオークスで波乱を演出したカレンブーケドールを見てみましょう。
2020年時点でカレンブーケドールの戦績を見ると
オークス2着
秋華賞2着
ジャパンカップ2着
京都記念2着
と牝馬のシルバーコレクターになりつつあるカレンブーケドールはオークスの段階でどうして12番人気と、今では考えられないほどに支持を落としていたのでしょうか。
カレンブーケドールが人気を落としていた理由はシンプルで桜花賞に未出走だったことです。
競馬ではデータを用いる予想方法があり、多くの人が見られています。その一つに前哨戦がどこだったのかによって予想する方法があります。
過去のデータを用いられたこの理論は好走事例があとを絶ちません。統計を見てもオークスの場合は前走が桜花賞だった馬が最も好走事例が多いのです。
オークス未出走のカレンブーケドールはそれだけで桜花賞組より人気を落としました。
そして、カレンブーケドールがオークスの前走に走ったレースがスイートピーステークスでした。
オークスにおいて優先出走権が得られるレースは桜花賞とフローラステークス、そしてスイートピーステークスがあります。
オークスの前哨戦であるこの3つのレースの中で最も好走事例が少ないのがカレンブーケドールが勝ったスイートピーステークスなのです。
G1レースともなると多くの人が様々なロジックで予想を立てられますがその中でも前走でどこを使われたかを多くの予想家が参考にします。
ステップレースがスイートピーステークスだったカレンブーケドールはさらに評価を下げることとなりました。
しかしながらスイートピーステークスの前に走ったクイーンカップにおいて後の秋華賞馬であるクロノジェネシスや阪神ジュビナエルフィリーズで3着のビーチサンバとコンマ2秒しか差のない4着でした。
それだけでなく、カレンブーケドールの新馬戦に至ってはダービーでロジャーバローズの2着に入選したダノンキングリーにアタマ差の2着なのです。
実績は下手な桜花賞組よりも十分あるにもかかわらずこれほどまで評価を落としていたのは一重に多くの人が過去のデータを鵜呑みにしていたからなのです。
ロジャーバローズが人気を落とした理由とダービー馬となった理由
令和初のダービー馬となったロジャーバローズも12番人気まで人気を落とすほどの馬ではありません。
どうして人気を落としたのかを2点ほど説明します。
1点目は前走が京都新聞杯だったことでしょう。
カレンブーケドールのように前走のレース名だけで人気を落としたわけではありません。実際に京都新聞杯を叩いてダービー馬になったキズナの存在から、京都新聞杯もトライアルレースとしては有力なレースなのです。
どういうことかというとロジャーバローズが走った年の京都新聞杯のメンバーレベルがそこまで高くなかったのです。
この年の京都新聞杯の1番人気の馬はタガノディアマンテでした。タガノディアマンテはきさらぎ賞で2着、スプリングステークス4着、皐月賞6着と重賞路線で結果を残していてこのメンバーの中では上位人気してもうなずけます。
また、4番人気のブレイキングドーンも弥生賞で3着に入選しました。
しかし、いずれの馬も重賞を手にしていませんし、2番人気に支持されたロジャーバローズを含めてこのレースで人気馬を蹴散らしたのが11番人気のレッドジェニアルでした。
伏兵レッドジェニアルに敗れたタガノディアマンテ、ブレイキングドーン、ロジャーバローズはこの一戦で一気に信頼を失うこととなり、この年の京都新聞杯はメンバーレベルが弱く思われることとなったのです。
2点目は、カレンブーケドールと同じくダービーとして有力である皐月賞に使われなかった点です。
ロジャーバローズは皐月賞トライアルであるスプリングステークスにおいても凡走してしまったことでさらに人気を落としたのかもしれません。
しかしながらロジャーバローズは結果的にはサートゥルナーリアやダノンキングリー、ヴェロックスらを抑えて見事優勝しました。
ではなぜロジャーバローズは優勝できたのかを2点ほど紹介しましょう。
1点目は完全なるノーマークだったのです。
ロジャーバローズは逃げ・先行競馬を得意とする馬です。
日本ダービーにおいてはサートゥルナーリアを筆頭に、皐月賞上位組であるダノンキングリーやヴェロックスの3強対決と言われていました。そのため3強ばかりに目が行き、ロジャーバローズは警戒されませんでした。
また、この年の青葉賞を制したリオンリオンが典型的な逃げ馬だったことで誰もがリオンリオンが逃げると確信していたことでロジャーバローズはより自分の競馬がしやすくなりました。
もう一つは枠順です。
日本ダービーは1枠を引いた馬が好走する事例が多く、ロジャーバローズが引いたのは1枠1番でした。
内枠は包まれると前半のポジション争いでしくじり、凡走してしまうこともありますが前述したようにほとんどの騎手は3強とリオンリオンを警戒していたため内枠からコースロスなく競馬することができたのです。
そして蓋を開けてみれば3強がせめぎ合うのを後目に1着でゴールインしたのです。
このようにロジャーバローズは前哨戦で結果を残せなかったものの、ダービーでは舞台適正と展開が合致したことで、まさかの大波乱の立会者となったわけです。
騎手も重要な要素
この高松宮記念・オークス・ダービーの3つのレースでそれぞれの手綱を取ったのはセイウンコウセイ幸騎手、カレンブーケドール津村騎手、ロジャーバローズ浜中騎手です。
幸騎手は関東ではイマイチ結果を残していないものの阪神・京都・中京においては結果を残していて西の中堅騎手として活躍しています。
津村騎手は幸騎手とは逆で東京・中山・福島・新潟といった東日本の競馬場で結果を残しています。
ダービージョッキーとなった浜中騎手だけは騎手の力量というよりは展開がかみ合いすぎたことが勝因だと思いますが、2010年代前半は大舞台で結果を残していたように元々勝負強い騎手です。
このように競走馬のみならず騎手においても得意な舞台があるのです。
まとめ
今回紹介した3頭は共に12番人気と大穴向けの馬でした。
人気の定義は人によって様々ですが一般的には
6~9番人気=中穴
二桁人気=大穴
と考えれる人が多いようです。
ただ、いくら人気を落としていても上位人気するだけの力がないとただ人気のないだけの馬で終わります。
穴馬になるためには
実績(実力)がある
舞台条件が合い出し切れる
展開が向いて出し切れる
鞍上もベストを尽くせる
6番人気以下
これらの条件が揃ってその馬は初めて穴馬になる資格が十分にあると言えるでしょう。
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