競馬ファンの中から最も人気ある脚質はなんといっても「逃げ」でしょう。スタートからゴールまで先頭を一度も譲らずに勝利をおさめる姿は、見るものを熱くさせてくれます。
今回は馬券作戦で、逃げ馬を予想するためのポイントや強い逃げ馬のご紹介をします。
逃げ馬予想の参考になるファクター
「このレースで、どの馬が逃げるか?」
レース予想を組み立てる上で、これを一番最初に考える人も多くいると思います。
一昔前は、逃げ馬が複数いた場合、「一番ベテランの騎手がだいたい逃げる」という考えをしていればおおむね逃げ馬を予測することができましたが、今は違います。
陣営からの指示があれば、若手騎手がベテラン騎手にガンガン競りかけて先頭に立ちペースが速くなってしまう光景もよく見ます。
なので、逃げ馬を予想することは、私は馬券を当てることと同じぐらい難しいのでないかと考えています。
それでも、レースの展開を組み立てるためには何らかの根拠を持って、予想しなければなりません。
ここで最も重要なのは「ひとつの情報に固執しないこと」だと考えています。
専門誌・スポーツ新聞・Webなどの馬柱にその馬の脚質が書かれていますが、その表記根拠はさまざまです。
・過去レースの通過順位
・過去レースの通過タイム
・馬券に最も多く絡んだ脚質
・陣営が今回どういった作戦をとるか、取材した結果
一例をあげただけでも、これだけあります。
なので、実際のレースを迎えると予想外の展開になってしまうことが多くあります。
それでも、逃げ馬を見つける正確性を上げるためには複数の予想媒体をチェックし、「逃げ」となっている数がもっとも多い馬を見つけることが逃げ馬を見つける確率を上げるポイントだと思います。
逃げ馬が分かれば回収率が上がる?
それでは、逃げ馬を見つけることができれば、回収率は上がるのでしょうか?もちろん、正確に展開を読むことができれば、馬券の的中率・回収率ともに上げることはできるでしょう。
しかし、先ほども述べたように、逃げ馬を見つけることはかなり難しいので、そこにばかり頭を使ってしまって、競走馬そのものの能力比較が雑になったりしないように注意しましょう。
また、展開予想を重視する人は、馬券を「逃げ馬同士」で組み立てる人が多い傾向があります。
ただ、逃げ馬が2着以内に入った場合、馬連の相手で絡む脚質の半数は差しか追込といわれています。
この大きな理由としては、逃げ馬の性質が大きく影響しています。
わざわざ激しい先行争いまでして、なぜ逃げなくてはいけないのでしょうか?
・周りに馬がいると気にするので、馬混みに入れることができない
・馬群だと折り合いをつけるのが難しいので、先頭に立たせる
このような馬の精神的な理由から逃げの脚質になる馬が多くいます。
なので、多少ハイペースで逃げる形になったとしても自分の形でレースを運べた逃げ馬が粘るケースが多くなり、他の先行馬はバテてしまい差し・追込馬が馬券に絡んでくるケースが多くあるということです。
展開を読む上ではぜひ、これを頭に入れておきましょう。
有名な逃げ馬一覧(過去)
サイレンススズカ
主な勝ち鞍
・1998 宝塚記念(GⅠ)
・1998 中山記念(GⅡ)
・1998 金鯱賞(GⅡ)
・1998 毎日王冠(GⅡ)
デビューしてからしばらくは、陣営は行きたがるのを我慢させる競馬を教えようとしていましたが、それを諦め、気分良く走らせるようにしたことで才能が開花することになりました。
4歳になった1998年、バレンタインステークスから始まった宝塚記念を含む6連勝は圧巻でした。
最期、秋の天皇賞の最終コーナーで故障を発生し予後不良になってしまったシーンは、あまりにも有名です。
ツインターボ
主な勝ち鞍
・1991 ラジオたんぱ賞(GⅢ)
・1993 七夕賞(GⅢ)
・1993 オールカマー(GⅢ)
重賞勝利はGⅢの3勝のみですが、二度の有馬記念で見せた大逃げはファンの注目を集めました。
JRAで走ったすべてのレースで逃げの手を打った生粋の逃げ馬でもありました。
大逃げをうち、完勝するか玉砕するか、思いっ切りのいいレースぶりは多くのファンから人気を集めました。
最後は上山競馬に移籍をしたのちに引退することになるのですが、上山で走った8戦はすべて勝ち馬から3秒以上離されての大敗というのもこの馬らしさを感じます。
カルストンライトオ
主な勝ち鞍
・2004 スプリンターズステークス(GⅠ)
・2002 アイビスサマーダッシュ(GⅢ)
・2004 アイビスサマーダッシュ(GⅢ)
短距離での逃げ馬といえばこの馬でしょう。
今となっては夏の新潟の名物重賞となったアイビスサマーダッシュの第2回・第4回の覇者です。
第2回でマークした53秒7のレコードはいまだに破られていないことから、いかにこの馬のスピードが抜けていたかが分かるでしょう。
また、不良馬場だったスプリンターズステークスでは前半3ハロンを33秒6のハイペース逃げ、上がり3ハロンをメンバー中2位の36秒3でまとめ、デュランダルを4馬身差に完封した競馬もインパクトがありました。
有名な逃げ馬(現役)
※現役馬の情報は、2019年8月末時点です
マテラスカイ
主な勝ち鞍
・2018 プロキオンステークス(GⅢ)
重賞勝ちはプロキオンステークスの1勝のみですが、ドバイゴールデンシャヒーンで見せたスピードは間違いなく世界でも通用するものでした。
成績にムラがあるのはネックですが、今後、高い確率で大きいところを勝ってくれそうな馬です。
アエロリット
主な勝ち鞍
・2017 NHKマイルカップ(GⅠ)
・2017 クイーンステークス(GⅢ)
・2018 毎日王冠(GⅡ)
今年のヴィクトリアマイルは前半800mを44秒8(5着)、安田記念は前半800mを45秒8(2着)ととんでもないペースで逃げながら上位に粘っています。
まだまだ、一線級を相手にやれるだけの能力はありますし、今年の秋はGⅠで逃げ切る姿をぜひ見せてほしいものです。
マルターズアポジー
主な勝ち鞍
・2016 福島記念(GⅢ)
・2017 小倉大賞典(GⅢ)
・2017 関屋記念(GⅢ)
丸2年、勝ちから見放されている現状ですし、前走は初めてダートに使って最下位と迷走中に見えますが、この馬の形で運べればまだまだやれる能力は持っていそうです。
全8勝中4勝が7番人気での勝利と、人気薄でこそ走るタイプなので、秋のローカル重賞でもう一花咲かせてくれることを期待しています。
※現役馬の情報は、2019年8月末時点です
逃げ馬が買えるパターンと買えないパターン
さて、逃げ馬が買えるパターンと買えないパターンですが、「逃げ馬が買える」というという意味で考えると、意外にも逃げ馬の多いレースの方だと考えています。
そういったメンバー構成だと、後方から運ぶ馬の騎手たちは「前に行った馬は勝手に止まってくれる」と思ってくれるので、先行争いを制して自分の形に持ち込むことができればチャンスが大きくなります。
逃げ馬の多いメンバー構成こそ、何が逃げるかを当てることができれば馬券の的中に近づけることができるでしょう。
逆に、逃げ馬が少ない場合の方が、後続馬のマークが厳しくなり早く仕掛けてこられ、自分の形で運べないことが多くなり実はあまり買えないと考えています。
人気薄が大逃げを打って穴をあけるパターンは強く印象に残りますが、ごく稀なことなのでそういった馬券を追いかけるのはあまり効率的ではありません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は逃げ馬にフォーカスを当て、様々な角度から解説をしました。
逃げ馬を含めた展開をしっかり読み、馬券の回収率を上げていきましょう!