競馬は晴れた日ばかりでレースするわけではありません。
基本的には雨が降っていても雪が降っていても行われます。(※降る量や程度にもよります。)そうなると雨で馬場は水分をたっぷり含むため馬場状態は変化します。その日の天候と馬場によって競走馬に求められるモノは全く違ってきます。
例えば芝であれば馬場水分が高くなると馬場がぬかるみスピードよりもパワーが求められます。ダートレースであれば水分を含んだ砂は締まるため足抜きの良い馬場となり、パワーよりスピードが求められます。これがレース経験豊富な馬たちのレースであれば過去のレース結果で、ある程度は重馬場が得意なのか苦手なのか分かります。
しかし、新馬戦などレース経験の浅い馬同士のレースは、過去のデータがない分、馬券予想も苦労します。そんな時、重馬場に強い血統を事前に知っていれば馬券選びにも困らないですし、もしかすると高配当を的中することもあるかもしれません。
今回は水分を含んだ重馬場がどのようなものであるのかを紹介した上で、重馬場が得意な産駒を紹介していきます。
重馬場とは
一般的には馬場水分を多く含んだ状況を重馬場といいます。
競馬では良・稍重(ややおも)・重・不良と馬場状況を4つのカテゴリーに分けることができます。
良馬場ほど馬場水分は少なく、不良馬場ほど馬場水分が多くなります。
この馬場水分を分析する担当の方が各競馬場ごとに所在しています。基本的には芝・ダート共に内柵から一メートル離れた場所の土壌を採取します。
採取の際、決められた深さのサンプルを採取しています。芝の場合は芝の根っこの部分あたりを、ダートの場合は表層のクッション砂の部分を採取します。
競馬場のいくつかのポイントから採取された土壌を分析し、土壌に含まれる含水率(がんすいりつ)を見て馬場状況を判断します。
この含水率によって馬場状況を発表するのですが、パーセンテージは競馬場ごとに、また、芝とダートで決められています。
例えば札幌競馬場の芝コースであれば
含水率15%未満 良
含水率14~18% 稍重
含水率17~21% 重
含水率22%以上 不良
と決められています。
東京競馬場の芝コースの場合は
含水率19%未満 良
含水率17~21% 稍重
含水率18~23% 重
含水率20%以上 不良
となります。
ちなみにダートコースの場合は全競馬場共通で
含水率9%未満 良
含水率7~13% 稍重
含水率11~16% 重
含水率14%以上 不良
となります。
ちなみに含水率とは土壌100に対してどれほどの水分量を含んでいるかを表しています。
例えば100gの土壌の含水率が15%だとしたらその土壌には15gの水分が含まれていることとなります。
参考元 馬場状態と含水率に関する基礎知識
>>http://www.jra.go.jp/keiba/baba/kaisetsu/index.html
重馬場に強い血統
競走馬はブラッドゲームといわれているほどに両親の特徴を色濃く反映します。。
その中でも重馬場を好走する馬というのは一般的にはパワーを持った馬です。
国内の産駒でいうとステイゴールドの産駒はパワー型の馬が多く、「雨のステゴ(ステイゴールドの略)は買い」という格言があるほどです。
また、元々日本の芝よりもパワーやスタミナが欲求される海外出身の競走馬の産駒もパワー型の馬が多いですね。
日本の馬ですとステイゴールド、オルフェーヴル、ゴールドシップといったステイゴールド一族は重馬場を得意としています。
その他にもダイワメジャーやブラックタイド、アドマイヤムーン産駒も重馬場での成績は良馬場のときよりも高いです。
海外血統で重馬場の芝を好走する産駒はオペラハウスやホワイトマズルの産駒ですね。
ダート重馬場の場合は馬場が締まるためスピードが求められます。
そのためダートが本場の米国産駒の馬が活躍しています。
例えばエンパイアメーカー、クロフネ、サウスヴィグラス産駒といった米国産駒がダートの重馬場で活躍しています。
ディープインパクト産駒は重馬場が苦手?
重馬場が苦手そうな血統で一番イメージする種牡馬は何でしょう?
恐らくはディープインパクト産駒ではないかと思います。
ディープインパクト産駒は現役時代のディープインパクトを彷彿させるような強烈な末脚を継いでいる産駒が多いですね。
末脚勝負になると軽くて速い時計が出る良馬場でこそ真価を発揮します。そのため末脚が削がれる重馬場においては末脚を活かす前に敗れてしまう傾向が多く感じます。
ですが、意外にもディープインパクト産駒は良馬場・重馬場・不良馬場問わず活躍しています。
良馬場での成績が良すぎて重馬場での成績が悪く見られがちですが、ほとんどの競走馬が重馬場を不得意とする中でディープインパクト産駒は良馬場でも重馬場でも安定した成績を持っているのです。
雨馬場での開催に関して
少し主題から逸れますが雨馬場に関する開催について、個人的主観を述べさせていただきます。
冒頭でも触れたように競馬はよほどのことがない限りは雨の中で開催されます。
その雨量は大型台風の接近等で競馬場へ足を運ぶのが危険と判断されない限りはどんなに雨が降っていても開催されます。
実は雨天開催に関しては競馬ファンにとっても賛否が分かれています。
なぜなら雨で泥んこ馬場になればなるほど競馬が危険になるからです。
どういうことかというと競走馬は馬場が濡れていると滑って転倒しやすくなるのです。
人間でも足元が濡れていたら滑ることがあります。
車ではハイドロプレーニング現象という言葉があり、水たまりに入るとタイヤと路面の間に水が入って水の上を滑るようなことがありますが、それは人や車に限った話ではなく競走馬にも当てはまります。
特に競走馬は蹄鉄を装蹄していることから馬場が湿って不良馬場開催になるとかなり滑りやすくなるようです。
例えば2017年に開催された天皇賞(秋)において1番人気に支持されたキタサンブラックがスタート直後に足元をすくわれ危うく転倒しそうになりました。
そのキタサンブラックが制した2017年の天皇賞(秋)の前週に開催された菊花賞も終始雨が降り続く不良馬場で開催されました。
菊花賞に出走する馬で3000mを走った経験のある馬は一頭もいません。
全ての出走馬が全く経験したことがない3000mの長距離を全頭、無事に完走できたことで勝ち負け以前に多くの競馬関係者、ファンが胸を撫で下ろしたことでしょう。
このように稍重や重馬場ならまだしも不良馬場開催においては騎手、馬ともに危険がつきものです。
キタサンブラックが制した天皇賞(秋)の日に東京競馬場で他のレースに騎乗していた吉田隼人騎手は
「馬が脚をとられたり滑ったりするんで、冗談抜きでヤバイですよ。乗っている方は命がけ」
と述べられたうえで土砂降りの不良馬場開催に関して苦言されました。
その不良馬場の影響をモロに受けたのが2020年の4月18日に開催された中山グランドジャンプでしょう。
強い雨風の中で開催された中山グランドジャンプにおいて、10歳馬のセガールフォンテン、昨年の中山大障害を制したシングンマイケルが障害飛越後に転倒しました。
また、2018年の七夕賞を制したメドウラークも障害飛越後に脚部不安のため競走を中止しています。
10歳のセガールフォンテン、メドウラークは怪我こそ患いましたが命に別状はありませんでした。しかし、昨年の最優秀障害馬であるシングンマイケルは最後の障害を越えたあとに前のめりに倒れてしまい、亡くなりました。
このレースに出走していた出走馬12頭のうちの3頭が障害飛越後に落馬、怪我をしてしまったために障害絶対王者であるオジュウチョウサンの史上初となる中山グランドジャンプ5連覇を素直に喜べない事態になりました。
障害レースは平場のレースと比較しても落馬する可能性は高いです。不良馬場まで陥った条件下で無理に開催せずに、少しスケジュールをずらしてでも馬場条件が良いレースが開催されていたらこのような悲劇は回避できたかもしれません。
競馬場は屋外にあるためどうしても雨の影響は避けられませんが、競馬の主役であるサラブレッドと騎手のことを考慮しながら開催の是非を慎重に検討していただきたいです。
参考元 JRAの「強行開催」に複数の騎手が怒り。「命にかかわる大問題」を”二の次”にした売上至上主義の闇とは
>> https://biz-journal.jp/gj/2017/11/post_5065.html
まとめ
競馬は天候の影響を大きく受けるため馬券予想される際は天気のファクターもしっかりと考えなくてはなりません。
血統と馬場に関しては
・芝の重馬場は欧州血統。ダートの重馬場は米国血統を重視。
・競馬場ごとに重馬場の得意不得意の血統がある。
・ディープインパクト産駒は意外にも重馬場でも走る。
これらを知っておくだけで、過去レースに重馬場経験がない馬を馬券に加えるかどうかある程度割り切ることができるでしょう。
特に重馬場ではパワーのある外国産駒の血統が活躍しやすいです。
重馬場を得意とする血統、苦手とする血統は意外とはっきりしているため覚えておいて損はありません。
是非参考にしてみてくださいね。
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