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競馬の降着制度・失格ルールが適応される条件を解説!過去に降着が適応されたG1レースも紹介

競馬は命がけのスポーツです。

 

時速60キロ、自動車と同じくらいの速度で走る競走馬の上に生身の人間が騎乗し、数センチでも他馬より早くゴールするゲームです。

 

そのためには多少進路が狭くなったり馬が寄りながらもうまくコントロールして1着を目指します。生き物をコントロールするわけですから時には思い通りにいかないときもありますし、上位争いするのに他馬の妨害を覚悟してでも無理してしまうケースもあります。

 

実際に競馬場に足を運んだ人ならわかると思いますが馬と馬の間を騎乗する光景は、よくいえば迫力がある、悪くいうなら一歩なにかあったら大事故につながりかねません

 

騎手もサラブレッドも危険な状態に置かれながらも1位を目指しているのです。

 

しかしながら、あまりにもひどい騎乗や進路妨害があったときは、JRAも黙ってはいません。

 

競馬場で目にしたことがある人もいると思いますがゴール入選後に審議ランプが点灯するときがあります。審議ランプが点灯するときは、大接戦で各馬がゴール板を通過したケース、つまり、写真判定を使わないと入選順位が分からないパターンと、レースで何らかの妨害があった可能性を調べるために時間を設けるときに審議ランプは点灯します。

 

当記事では後者の妨害があった時にどのような裁定が降りるのか、また、降着制度の詳しいルールをまとめたうえで過去に降着があったレースを取り上げながら、今後の降着制度に対しての個人的な感想をまとめています。

 

競馬の降着制度とは?

レース中に他の競走馬の進路を狭めた時に審議ランプが点灯するのは前述した通りです。

 

降着が適応されるときは、被害にあった馬がもし妨害されていなければ着順が変わっていたであろう、と判断されたときに降着制度が適応されます。言い換えれば、妨害があっても被害馬が上位入選する見込みがないと判断されたときは入選順位通りに着順が表示されるようになっています。

 

審議についてはJRAの裁定委員会が判断します。つまり、人の考えで着順が決まるのです。

 

なお、審議ランプが点灯する際は「5着以内に入選した馬」にのみ適応されます。6着以下の馬が進路妨害があった場合は審議ランプは点灯しません。

 

失格ルールについて

以下の2点が適応されたときに失格ルールが適応されます。

 

1. 極めて悪質で、他の馬や騎手に危険を及ぼす行為

2. 競走に重大な損失を与えた場合

 

上記の2点を満たしたと裁定委員会が判断したとき、加害馬は失格になります。

 

例えば、加害馬が意図なく斜行し、被害馬を転倒、被害馬に騎乗していた騎手が落馬し競走中止となった場合は悪質とみなされないうえに競走全体に損失を与えていないため、失格扱いはされません。

 

 

このように降着制度、失格ルールともに判断が曖昧になりケースが多く、また、降着制度にしろ失格ルールにしろほとんど適応されないパターンが多いため、競馬ファンからは「やったもん勝ち」と指摘されることもあります。

 

地方競馬の降着制度と失格ルールは同じ?

地方競馬の降着制度に関しては被害馬が被害に合わなければ着順が変わっていたと判断された場合に降着制度は適応されます。失格ルールは悪質な騎乗+競走に悪質な影響をもたらしたときに適応されます。

 

結論をいうと中央競馬と地方競馬の降着制度・失格ルールが適応される基準は同じです。

 

過去に降着制度が適応されたレース(G1)

降着制度が適応されたレースの代表的なのは桜花賞とオークスを制したブエナビスタでしょう。

 

秋華賞にて、史上3頭目となる牝馬三冠に王手をかけていたブエナビスタは勝ち馬レッドディザイアのハナ差2位で入選しましたが、ブロードストリートの走行妨害が下され3着に降着しました。

 

ブエナビスタは翌年のジャパンカップでも進路妨害で降着されました。ジャパンカップでは後方集団から競馬をしましたが直線で一気に末脚を伸ばして馬群を抜き去り鮮やかにゴール板を駆け抜けました。

 

ところが、直線で斜行してしまい、ローズキングダムに接触してしまいました

 

ローズキングダムは直線でブエナビスタとヴィクトワールピサの間を縫うように脚を伸ばしましたが、ブエナビスタに2度斜行されました。1度目は接触だけでしたが2度目は前から入られたため末脚が削がれてしまいました。ローズキングダムはそれでもヴィクトワールピサには先着し2番目にゴール板を通過しました。

 

この影響で審議ランプが点灯。

発走から30分後にブエナビスタの降着が適応され、ローズキングダムが繰り上げ1着入選となりました。

 

その他に降着制度が適応されたレースで有名なのは1991年の天皇賞秋でしょう。

 

加害馬は名ステイヤーとしても名高いメジロマックイーンです。

 

7枠13番からのスタートとなったメジロマックイーンは果敢に先行争いに加わります。最初のコーナー(2コーナー)にて内側を取りながらレースをしていたメジロマックイーンはこのとき、内で競馬していたプレクラスニーを妨害してしまい、その後ろを走っていたメイショウビトリア、プレゼントシチーらの進路も狭まりました。

 

レースは先行集団から直線で抜け出し6馬身差の圧勝劇でしたが、レースの途中から審議が発表されていました。

 

レース終了の15分後に審議の結果が発表され、メジロマックイーンは18着降着が下され、2着に入選したプレクラスニーが繰り上げで1着入選すると発表されました。

 

降着処分が下されましたが1着入選から18着と、しんがりまで降着されたレースは極めて珍しく、実質失格といっても過言ではないでしょう。

 

過去に降着制度が適応されなかったレース

2017年のマイルチャンピオンシップでしょう。勝ち馬はミッキーアイルで鞍上は浜中俊騎手でした。

 

8枠16番からの競馬ですんなりとハナに立ちそのまま先頭でレースメイクを作ります。直線でもスピードを殺さずに粘り強い競馬をします。

 

もちろん、後続からはイスラボニータやサトノアラジン、ディサイファやダノンシャークといった重賞馬が猛追をしかけますが、ミッキーアイルは持ち前の粘り強さを見せつけて優勝しました。

 

ところが、イスラボニータ以下の追い込み馬がミッキーアイルに襲い掛かってきたときに浜中騎手が右鞭を連打。それにより馬が左に寄れてドミノ倒しにネオリアリズム、ディサイファ、サトノアラジン、ダノンシャークが接触し、走行妨害してしまいました。

 

特にディサイファに騎乗していた武豊騎手は「ディサイファがブレーキをかけなければ落馬するかもしれなかった」と語っているように、極めて危険な状況で、武豊騎手は翌週に名馬キタサンブラックでジャパンカップに挑むスケジュールが組まれていたため、冷や冷やしたことでしょう。

 

審議ランプこそ点灯しましたが、進路妨害がなければ被害馬が上位入選した可能性はなかったと判断され、入選通りの決着となりました。

 

加害馬ミッキーアイルに騎乗していた浜中騎手はレースを終えてからもこの件に関して相当反省していて、レース後の勝利インタビューでも一切笑顔はなく、「大きな迷惑をかけてしまい申し訳ない」と前述したうえで、「馬(ミッキーアイル)は本当によく頑張ってくれた」とコメントされました。

 

進路妨害は結局「やったもん勝ち」なのでしょうか?

この降着制度・失格ルールは非常に曖昧模糊で、人間が最終的に判断するため、競馬ファンからしたら納得のいかない事例も必ずあります。

 

特に、お金を払って馬券を購入しているためより一層、その気持ちは強いでしょう。

 

日本の降着制度は元々は厳しかったのですが2013年にルールが改正されてからは緩くなりました。2016年のマイルチャンピオンシップの例を見てもルール改正があったために降着にはなりませんでした。逆に1991年のメジロマックイーンの天皇賞はルール改正後であれば着順通りの結果なっていたかもしれません。

 

それでも裁定委員会の存在がなければ、いつまでたってもジャッジは下りません。誰かが判断しないといけないのです。

 

一番は審議ランプが点灯しないフェアなプレーを心がけることでしょう。ファンがいての競馬なのでファンが失望しないようなフェアプレーをジョッキーには常に心掛けてもらうことが大事だと思います。

 

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