2016年もいよいよあとわずかになりました。競馬ファンはもちろん、普段は競馬を観戦したり馬券を買わないという人でも「有馬記念」だけは馬券を買ったり、競馬場に足を運んで観戦したりする人もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はそんな有馬記念の売上の推移と今年の売上を予想してみたいと思います。
有馬記念の過去10年の売上推移
中央競馬は1年間を通して全国各地の競馬場で順番に開催されていますが、その中でも年末の風物詩として有名な有馬記念。
その有馬記念における過去10年の売上は以下のようになっています。
2015年 416億1,774万9,800円
2014年 388億2,561万8,100円
2013年 350億8,838万7,600円
2012年 333億 182万3,800円
2011年 377億8,410万6,800円
2010年 388億5,499万3,200円
2009年 404億4,410万2,200円
2008年 428億6,770万5,100円
2007年 451億9,421万4,900円
2006年 440億2,037万7,700円
ちなみにですが、歴代最高の売上を記録したのは1996年の「875億1,040万2,400円」で、これは世界で一番馬券の売上の多いレースとしてギネスブックに載っているほどの記録となっています。
その歴代最高に比べると、ここ10年は400億円台ということで約半分くらいまで減少しているのが現実ですが、それでもわずか2分ちょっとの1レースで400億円ものお金が動くと考えると、競馬界はもちろんですが、経済的にも非常に大きなレース(イベント)であることがお分かりいただけるでしょう。
有馬記念の売上に関連すること
馬券の売上は、例えば景気であったり震災であったり、経済の動向に影響するところはありますが、やはり競馬は「娯楽・エンターテイメント」である以上、必ずしも直結しない部分もあります。
例えばですが、2011年は東日本大震災が発生した年ですので、一見すると経済は低迷し、その分娯楽への出費も減るものと思われますが、意外にも2012年や2013年の方が少ない数字となっています。
馬券の売上は必ずそういった経済の状況に左右されるものではなく、それよりも、その年にどんな馬が出走するのか、が重要であると考えられます。
また、年末という開催時期からこの有馬記念を最後に引退レース(ラストラン)となる馬もいることから、レース後に行われる引退式まで含め、例えば「引退式を行う馬のファン」など様々な要素が絡み合って入場者の動向が変わると考えられます。
当然、入場者が増えればその分だけ現地で馬券を買う人も増えますので、馬券の売上も上がるというイメージです。
過去10年の最低は2012年
では、過去10年の売上推移について詳しく見ていきましょう。
ここ10年で最も売上の少なかった年は2012年の有馬記念でした。
これは筆者の推測ですが、前年の2011年は東日本大震災が発生した年でしたが、それよりも低い売り上げとなっています。
2011年の有馬記念では、「怪物」と称された牡馬クラシック三冠馬のオルフェーヴルが出走していたことや、他にもダービー馬のエイシンフラッシュ、天皇賞馬ヒルノダムール、牝馬でジャパンカップを制したブエナビスタ、日本馬でドバイワールドカップを初めて制覇したヴィクトワールピサといったスターホースが揃っていたことが大きな要因だと考えられます。
一方で、この2012年はその年の皐月賞・菊花賞を制したゴールドシップ(1番人気)が筆頭だったものの、2番人気が国内G1未勝利のルーラーシップをはじめ、G1馬が少なかった年であったことからも、やや2011年に比べると小粒だったのかなという印象があります。
過去10年の最高は2007年
一方、過去10年で最も売上が高かった有馬記念は2007年でした。
筆者の推測では、この結果は前年の2006年も関連していると考えています。
2006年の有馬記念を制したのは、競馬を知らない人でも名前くらいは知っている人も多いでしょう、ディープインパクトです。
ディープインパクトの活躍は競馬界を超え、日本中に大きな影響を与えたと感じます。
無敗の牡馬クラシック三冠馬として活躍したこともそうですし、主戦騎手だった武豊騎手の人気が改めて過熱した時期だと思います。
凱旋門賞にチャレンジした際は、普段放送しない深夜の番組で中継されるなど、社会現象を巻き起こしたと言っても過言ではないかもしれません。
そのディープインパクトをきっかけに競馬を始めた人や、昔やっていたけどまた始めた、という人が増えたのではないかと推測しています。
もちろん、具体的な統計やアンケートを取っているわけではないので確証はありませんが、少なくともこの売上の推移をみると、そんなこともイメージできるのではないでしょうか。
さて、そんなディープインパクトが引退し、競馬界が一旦落ち着いたように思えた2007年ですが、この年の日本ダービーでは牝馬のウォッカが制し、64年ぶりの牝馬によるダービー制覇が成し遂げられた年となりました。
そのウォッカが参戦したこともありますし、ダービー馬のメイショウサムソン、桜花賞・秋華賞・エリザベス女王杯を制したダイワスカーレットや皐月賞馬のダイワメジャーなど、この年もスターホースが揃っていたことも大きな要因と言えるでしょう。
2012年を底に右肩上がり
そうは言っても、歴代最高の1996年に記録した800億円台から比べると競馬人気は減少したと言わざるを得ないでしょう。
2010年には300億円台まで減少してしまい、このまま競馬の人気は縮小していくのかと危惧されていたのも事実だと思います。
しかし、ふたを開けてみれば2013年はオルフェーヴルの引退レースがあったこともあってか前年比を上回る結果となり、その後もゴールドシップをはじめ、牝馬としてジャパンカップ連覇や有馬記念を制覇したジェンティルドンナ、そのジェンティルドンナを天皇賞で4馬身差の圧勝で制覇したジャスタウェイ、更にそのジャスタウェイをジャパンカップで4馬身差をつけて圧勝したエピファネイアなど、とても個性的な馬たちの活躍があったことで競馬人気が上がってきたのではないかと考えられます。
また、中央競馬を主催するJRAによる様々なイベントや企画の実施を行い、特に女性ファンを増やす「UMAJOスポット」の展開など、主催者側のプロモーションが功を奏したことも要因として挙げられることでしょう。
そのようなこともあって、昨年の2015年は2009年以来となる400億円台を回復するに至っています。
2016年の売上予想
では、最後に筆者が予想する2016年有馬記念の売上予想を発表したいと思います。
ズバリ、金額にして「420億円」に達するのではないかと予想しています。
2016年の今年は「海外競馬発売元年」として、海外レースの独自発売がスタートした年でもあります。
海外レースはインターネットでの投票のみとなっておりますので、そこに向けた新規インターネット投票の利用者が増えているのではないか、ということがあります。
また、当然現地や場外馬券場で馬券を購入する人も多数いることでしょう。
今年は歌手の北島三郎さんがオーナーとして所有しているキタサンブラックが出走予定をしていますし、そのほかにも前年の覇者ゴールドアクター、菊花賞馬のサトノダイヤモンド、オークス馬のミッキークイーン、宝塚記念を制したマリアライトといった強者揃いとなっています。
キタサンブラックがやや抜けているという声がありますが、やはりやってみないと分からないのも競馬の醍醐味。
どの馬が勝ってもおかしくない実力を持った馬たちが出走を予定していますので、今年の有馬記念も前年の売上を上回ることが予想されます。
是非、皆さんも当日は競馬場やテレビの前で年末のビッグレースを楽しみましょう!