JRAの競馬場は全国に10か所あります。
テレビで競馬の放送をみたときに、前回は右回りだったのに今回は左回りで競馬している光景に疑問を持たれた方っていらっしゃいますか?
これは、競馬場ごとに右回りと左回りが指定されているからです。当記事では右回りと左回りの違いを詳しく説明していきます。
右回りと左回りの競馬場一覧
右回りの競馬場は全部で7か所あります。
札幌競馬場
函館競馬場
福島競馬場
中山競馬場
京都競馬場
阪神競馬場
小倉競馬場
左回りの競馬場は全部で3か所あります。
新潟競馬場
東京競馬場
中京競馬場
7:3の割合で右回りの競馬場が多いです。
4大競馬場(東京・中山・京都・阪神)の中で左回りの競馬場は東京競馬場のみですが、ダービーや天皇賞(秋)といったビッグレースが開催されるため左回りの印象が強いです。
割合が不釣りあいですがトラック状のコースが整備された横浜競馬場が右回りだったため右回りの競馬場が重点的に増えていったようです。
右回りと左回りの競馬場の違い、主なコース特徴
左回りの競馬場は直線距離が長い
新潟競馬場は中央競馬場でもっとも長い直線距離の競馬場で、国内で唯一、直線1000mのレースも導入されています。直線1000mの重賞レースであるアイビスサマーダッシュ(G3)が導入されているのも特徴です。
東京競馬場はダービーやジャパンカップが開催される競馬場です。一年で開催されるG1は8つと、国内の競馬場の中で最も多くG1が開催されます。(ちなみに、G1開催数は中山が障害G1を含めると6つ。京都が5つ。阪神も5つ。中京は2つです。)新潟競馬場に次いで直線距離が長い競馬場でもありG1レースで直線の攻防が盛り上がるのは東京競馬場の醍醐味でもあります。
中京競馬場は四大馬場ほど知名度は高くありませんがローカル開催が行われたり、大阪杯のステップレースである金鯱賞が開催される競馬場です。G1も春のスプリング王者を決める高松宮記念、秋のダート王決定戦であるチャンピオンズカップが開催される舞台でありながら、夏のローカル開催時期にも指定されている競馬場です。ローカルの中では距離が長く、直線距離は400m以上あります。
左回りの競馬場はいずれも直線距離が長く、コース全体が大回りなのが特徴的です。
右回りの競馬場は全体的に小回りである
右回りの競馬場は北は札幌、南は小倉、計7つ存在します。4大馬場である中山・京都・阪神も右回りの競馬場です。
7つあるうちの札幌・函館・福島・小倉といったローカル開催の競馬場はいずれも小回りの競馬場で、特に函館競馬場は全ての競馬場の中でも最も小回りの競馬場です。
中山競馬場は有馬記念が開催されることで有名な競馬場ですが4大馬場のなかでは一番コースの小さい競馬場です。直線距離も東京(約530m)、阪神外回り(約473m)、京都外回り(約404m)と比較しても中山の直線距離は約310mしかありません。これは、阪神内回り(約356m)、京都内回り(約328m)よりも短い距離となっています。
右回りの競馬場は左回りの競馬場と比較しても小回りのイメージの強い競馬場ですが京都競馬場と阪神競馬場だけは別。京都、阪神ともに3000m以上の長距離レースが設定されていますしコーナーワークの大きさにも定評があり、直線距離も外回りであれば400mを超えているため右回りの競馬場の中でもかなり大きな競馬場です。
右回りと左回りが分かれているのはなぜ?
では競馬場によってどうして右回りと左回りで分かれているのでしょうか。
実は馬によって右回りが得意な馬がいれば左回りが一番パフォーマンスを発揮する馬がいます。馬が力を発揮する舞台を設けるために右・左回りとそれぞれの競馬場を用意しているのです。
どうして馬によって右回りや左回りの得意な馬がいるのかというと人間に利き手、利き足があるように馬にも利き脚が存在するからです。ほとんどの馬は調教で右回りにも左回りにも順応に対応できるように鍛えられているため右回りでも左回りでも問題なく走ることができますが馬によってはコースの得意・不得意が成績に反映される馬も存在します。
右回り・左回りの要素は予想においても重要視されることもあります。
先ほどお伝えしたようにほとんどの馬は右でも左でも走るよう訓練されていますが、過去の成績を見て例えば左回りの競馬場で成績がいい馬であったり、重賞で好走するレベルの馬でも左回りの競馬場で極端に成績が落ちる馬がいたらそれらの馬はコースの得意・不得意が露骨に出ていると思っていただいてもよいでしょう。
利き脚を見極める
利き脚を見分けるのは非常にシンプルです。走っているときに先に前にでる脚が利き脚となります。右脚が先に出るのであれば右利きで、左脚が先にでたら左利きです。
ただし、この話は基本的に直線で走っているときの話でコーナーワークで走るときは「手前を変える」必要があるため、コーナーでは判断できません。
「手前を変える」とは
先ほど表記した「手前を変える」について詳しく説明します。
競走馬は基本的に利き脚を先に出して走りますが、ずっと利き脚を前に出していたらその脚に負担がかかってバテてしまい、失速してしまいます。そのため、競走馬はレース中、利き脚とは逆の脚を先に出したり、再び利き脚を出したりと、前に出す脚を使い分けながら走ります。
そのことで一方の脚にかかるはずの負担を分散しながら走るため長い距離を走ることができます。また、ここ一番でスピードを発揮することが出来るのです。
このように脚を使い分けながら走ることを手前を変えるといいます。手前を変えることはコーナーを走るにおいて非常に重要です。
例えば右回りの競馬場であれば右手前、左回りの競馬場であれば左手前で走ります。なぜなら、右回りで左手前で走ると外に膨らんでしまい、コースロスの少ない内ラチを走ることができなくなるからです。
右回りが得意な競走馬、左回りが得意な競走馬
マツリダゴッホ
2007年の有馬記念を9番人気で制した馬です。他にも産経賞オールカマーを3連覇を達成しました。
通算成績(10-2-1-14)のうちの8勝が中山競馬場でのもので典型的な中山巧者。勝った残る2つも札幌競馬場のもので、買った舞台は全て右回りの競馬場でした。
左回りの競馬場は5戦走って(0-0-0-5)。そのうち何戦かは掲示板に入選しているため決して左回りが苦手というわけではないみたいですが、どちらかというと右回りの競馬場が得意だった馬です。
ウオッカ
2007年のダービー馬であり最終的にG1タイトルを7つ獲得しました。獲得したG1タイトル7つ中6つが東京競馬場のもので左回りがめっぽう得意な馬です。
右回りも桜花賞で2着だったり苦手ではなく、むしろ好走していましたが、左回りのパフォーマンスが別格で、左回りの通算成績は(6-3-2-1)と、古馬にも牡馬にも全く引けを取らない活躍をしました。
スワーヴリチャード
2018年の大阪杯を制し2019年のジャパンカップを制覇した中距離馬。
右回り・左回りの舞台でG1タイトルを掴んだためどちらでも対応している馬ですが、3歳の頃は右回りの不安が非常に強い馬だったそうです。
3歳の頃、アルゼンチン共和国杯(東京・芝2500m)を快勝した後、右回りである有馬記念に出走するか否かで悩まれたそうです。結果的には有馬記念に出走し4着に入選しました。
その翌年の大阪杯も当時の鞍上デムーロ騎手の手綱さばきで右手前でコーナーをうまく回り快勝し、右回りを克服しました。
まとめ
簡潔ですが右回りと左回りについてまとめさせていただきました。
右回りと左回りが分けれている理由は主に2つあり、馬の利き脚に応じた舞台を整えることと、予想のファクターを増やすことだったのです。特に後者に関してはより一層予想を悩ませる要因となっているので予想に時間を取られる反面、予想する楽しみも増えたように思われます。
ほとんどの馬は右回りでも左回りでも走りますが、やはり利き脚というのは必ず持っているものですし舞台によってパフォーマンスを上げる馬、落とす馬は必ず存在します。馬の「利き」を見極めて馬券を予想していきましょう。
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