大種牡馬ノーザンダンサー産駒のヌレイエフ自身は、病気の影響もあってわずか3戦で現役を引退してしまいました。そのため、この馬の競走馬としての能力はどの程度だったのかは未知数です。
しかし、種牡馬として才能を開花させ、日本でも芝の短中距離を中心に活躍馬を輩出しました。今回はヌレイエフ系の代表産駒や種牡馬の特徴をご紹介します。
ヌレイエフ系の代表産駒
ヒシアマゾン
父:Theatrical
母:Katies
母父:ノノアルコ
馬主:阿部雅一郎
調教師:中野隆良(美浦)
生涯成績:20戦10勝
主な勝ち鞍:1993 阪神3歳牝馬ステークス(GⅠ)
1994 エリザベス女王杯(GⅠ)
デビューから12戦連続連対を果たしたヒシアマゾンは、芝のあらゆる距離で活躍しました。
3歳の春には1200mのクリスタルカップを勝ち、翌年は2400mのエリザベス女王杯で1着、2500mの有馬記念では一線級の牡馬を相手に2着とその存在感を示し続けました。
当時はマル外馬が出走できるレースが少なく、思うようなローテーションを組むことができないなかで、本当に素晴らしい活躍を見せました。
ワールドクリーク
父:マジックミラー
母:ケイシュウハーブ
母父:ミシシッピアン
馬主:吉田光徳
調教師:鹿戸明(栗東)
生涯成績:51戦14勝
主な勝ち鞍:1999 東京大賞典(GⅠ)
オープン入りするまで20戦を要してしまいましたが、900万条件の秋分特別から大井の交流 GⅠ、東京大賞典までの5連勝は見事でした。
重賞勝利はこの1勝で終わってしまいましたが、2000年にはドバイワールドカップにも挑戦し、多くのファンの記憶に残っています。
ワンダーパヒューム
父:フォティテン
母:ラブリースター
母父:トウショウボーイ
馬主:山本信行
調教師:領家政蔵(栗東)
生涯成績:9戦2勝
主な勝ち鞍:1995 桜花賞(GⅠ)
4歳(現3歳)1月の京都でデビューしたワンダーパヒュームは、デビューからたった3か月、4戦目で挑戦した桜花賞を7番人気で制しました。
次のオークスで3着に入って以降は精彩を欠いてしまいましたが、田原成貴騎手の好騎乗に導かれて制した桜花賞の勝ち方はインパクトの強いものでした。
ブラックホーク
父:Nureyev
母:シルバーレーン
母父:Silver Hawk
馬主:金子真人
調教師:国枝栄 (美浦)
生涯成績:28戦9勝
主な勝ち鞍:1999 スプリンターズステークス(GⅠ)
2001 安田記念(GⅠ)
オープン入りするまで9戦を要してしまいましたが、そこから大崩れなく走り息の長い活躍を続けました。重賞は5勝(GⅠ2勝を含む)、2着6回、3着5回と、とにかく馬券に絡みまくりました。
ヌレイエフ系の代表種牡馬
パントレセレブル
父:Nureyev
母:Peinture Bleue
母父:Alydar
父ヌレイエフ、母父アリダーの配合は、フランスとアメリカでリーディングサイアーとなった種牡馬同士の組み合わせで、超良血馬でした。現役時はその期待に応えて凱旋門賞をレコードで圧勝しました。
そして、現役引退後は世界中の期待を背負って種牡馬入りしますが、期待外れに終わってしまいます。
2001年に日本で供用されるようになりますが、母の父としてピュアブリーゼ(オークス2着)を出した以外は目立った活躍はありません。
ブラックホーク
父:Nureyev
母:シルバーレーン
母父:Silver Hawk
種牡馬としてのブラックホークはそれほど多くの産駒はいませんが、その特徴としては芝とダートを比較しても、短距離と中距離を比較してもほぼ変わらない確率で馬券に絡んでいることです。
今は母父をして時折見る程度ですが、その特徴は覚えておいて損はないでしょう。
ストラヴィンスキー
父:Nureyev
母:Fire the Groom
母父: Blushing Groom
ヌレイエフ系の種牡馬で日本で一番活躍したのはストラヴィンスキーです。重賞4勝のコンゴウリキシオーを筆頭に、マイルから中距離戦線で活躍馬を出しました。
こちらも今となっては母父で少し出てくる程度ですが、そこに名前があれば芝のマイルから中距離が得意なことを頭に入れておきましょう。
ファスリエフ
父:Nureyev
母:Mr. P's Princess
母父:Mr. Prospector
母父ミスタープロスペクターの血を強く引いており、産駒勝利の9割以上がダートなのがファスリエフ産駒の特徴です。距離もマイル以下での勝利がほとんどなので、条件を絞り込んで狙いやすい種牡馬です。
それほど現役馬は多くありませんが、ファスリエフ産駒が芝のレースに出走してきた場合は、問答無用に消してしまって問題ないことは間違いありません。
芝・ダート適性
ヌレイエフ系の特徴として大きく出ているのは、掛け合わせる種牡馬や繁殖牝馬の特徴を引き立てているということです。
例えば、父がヌレイエフ系の種牡馬だと、母父がどのような条件を得意としていたのかを見た方が、その馬の適性を掴みやすいのが特徴です。
距離適性
かつては特徴がしっかり出ており、この血を持って活躍する馬は1600m~2400mの間に活躍する馬が多い傾向にありました。
先程ご紹介したヒシアマゾンは、1200mのクリスタルカップを勝っていますが、スタートからゴールまでずっと中舘騎手が追い通しのレースだったので、力の違いで勝った印象でした。なので、決して1200mが合っていたわけではないという判断で間違いないでしょう。
ただ、近年は先述したファスリエフがメインに日本では走っており、それを覆す特徴が出てきているといった現状です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回はヌレイエフ系の特徴について取り上げました。
今の日本の競馬でヌレイエフ系の血を持っている馬はあまり多くはないので、その特徴を知っていて馬券作戦に役立つことはあまり多くはありません。
ただ、その中で比較的出走回数が多いのがファスリエフ産駒になります。そのファスリエフ産駒は勝利の9割以上をダートコースであげていますし、1600m以下の条件を得意としています。
その条件に合う馬が出走してくれば、馬券を買う候補に入れておく必要があることを忘れないようにしておきましょう。
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