今回は中央競馬における芝コースとダートコースのタイム差についてまとめてみました。
まず、JRA(日本中央競馬会)が公式に記録している芝コース、ダートコースのレコードタイムを見ていきましょう。
距離 |
芝コース |
ダートコース |
---|---|---|
1000m |
53.7(新潟) |
56.9(小倉) |
1100m |
1:04.9(福島) |
1:06.6(東京) |
1200m |
1:06.5(小倉) |
1:08.7(中山) |
1300m |
1:16.2(阪神) |
1:16.1(東京) |
1400m |
1:19.0(新潟) |
1:21.5(阪神) |
1500m |
1:27.7(札幌) |
1:29.6(札幌) |
1600m |
1:30.7(中山) |
1:33.3(東京) |
1700m |
1:39.8(小倉) |
1:41.7(札幌) |
1800m |
1:43.9(京都) |
1:47.8(京都) |
1900m |
1:54.1(阪神) |
1:53.7(京都) |
2000m |
1:56.1(東京) |
2:01.0(阪神) |
2200m |
2:09.9(中京) |
2:16.0(東京) |
2300m |
2:18.3(東京) |
2:22.3(中京) |
2400m |
2:22.1(東京) |
2:28.6(東京) |
2500m |
2:29.5(中山) |
2:38.6(中山) |
2600m |
2:37.3(福島) |
2:43.3(京都) |
※データは2017年1月22日終了現在で、3歳以上のみ、距離は芝コースとダートコースで共通で開催される距離のみをピックアップしています。
このデータを見て頂ければ一目瞭然ですが、芝コースの方がダートコースより1秒以上早い距離がほとんどとなっています。
強いて挙げるとするならば、1300mと1900mがダートコースの方が早いタイムとなっていますが、これはそれぞれ芝コースにおいて1300m、1900mという距離がほとんど施行されていないからであり、芝コース1300mのレコードタイムはなんと昭和51年、1900mは昭和55年に記録されたものであり、近代競馬の傾向とはかけ離れていることが原因と考えられます。
もちろん、一概に昔の競走馬が弱かったという意味ではありませんが、やはりレコードタイムは年々更新されている距離がほとんどで、また海外のレースで活躍する日本馬が増えてきたことを見ても、競走馬全体のレベルは年を重ねるごとに上がっていると考えるのが自然かなと思います。
一方、ダートの1300m、1900mは比較的多く開催されており、ダート1300mは平成28年に、1900mは平成23年に記録されたものですから、芝コースとダートコースの違いはあるとはいえ、競走馬のレベルが格段に違うとみて例外として良いと考えています。
さて、上記の通り2つの距離は例外として、それ以外の距離について見てみると、競馬場の違いがあるとはいえ大きいところでは10秒近く離れている距離も存在します。
競馬場が違えば、例えば直線の距離、コーナーの角度、坂の傾斜など諸条件が異なってしまいますが、そもそも同じ競馬場の同じ距離でも芝コースとダートコースでは設置されている場所が違うため、自然と条件は変わってしまいます。
そうは言っても、距離としては全く同じ距離を走っているだけに、どうしてここまで差が開いてしまうのか気になるところではないでしょうか。
ちなみにですが、一般的には「1馬身差=0.2秒」くらいと言われています。
そのため、1秒違えば5馬身近い差があることになりますので、芝コースとダートコースではそれだけ差が開くものだとお考えいただけると思います。
なぜ芝コースとダートコースに大きな差が出るのか?
各競馬場によっても特徴の違いはありますが、全体的に見た芝コースとダートコースの違いと言う点では、ダートコースはその名の通り「砂」の上を走るコースですので、自ずと力が必要なコースとなります。
人間で例えるならば、砂浜の上を走るようなものなので、足抜きが普通の陸地に比べて悪いですからその分足を上げて走らなければならず、普通のアスファルトや砂利道くらいの道と比べてどうしてもタイムは遅くなってしまうと思います。
競馬のダートコースは、砂浜ほど深く、競走馬が走るときに極端に足を上げて走ったりはしませんが、やはり競走馬が蹴り上げたときの力が砂のクッションで吸収されてしまうため、力が必要になります。
また、コース自体にも特徴があり、中央競馬の場合、ダートコースは芝コースの内側に設置されていますので、その分コーナーがきつくなったり、直線が短くなることも影響していると考えられるでしょう。
芝コースは例えるならば陸上競技場のようにしっかりと整備されてスピードが出やすい性質がありますので、加速した時のスピードの乗り方が違うと考えられます。(決してダートコースが整備されていないという意味ではありません。あくまでも例えです。)
また、最初にお出ししたデータを見て頂ければわかると思いますが、距離が長くなるにしたがってタイム差が開いているのが分かると思います。
もちろん、どちらのコースの距離においても長距離になればなるほどスタミナが必要なことはその通りですが、根本的に走っているコースで出ているスピードが違うため、例えば同じ2400mでも、早いタイムが出やすい芝コースを常に走っているレースと、力が必要なダートコースを走っているレースとではだんだんと差が開いていきますので、結果的にトータルのタイムも差が開くと考えられます。
一方で、ダートでも短距離であれば、やはり求められるのはスピードですので、そこまで大きなタイム差が出ていないのではないでしょうか。
芝コースとダートコースにおけるレース展開の違い
では、芝コースとダートコースでレース展開に違いがあるのかどうかについてお話しします。
この点も競馬場であったり、あるいは実際に出走するメンバーによって違いは出てきてしまいますが、大きく分けて芝コースの方が先行争いが激しくなりやすく、ハイペースになりやすい傾向にあると考えられます。
これはスタートしてからの初速がダートより速く走れるからであり、特に逃げたい馬が複数出走しているようなレースであれば、中距離でもそれなりにペースが速くなり、全体のタイムも速くなりやすい可能性があります。
ダートコースも逃げたい馬が多い場合や短距離レースでは速くなる傾向にありますが、どうしても走っているコースがダートの方が負荷が大きくなりやすいので、芝コースに比べると速くはなりづらい傾向にあります。
馬場状態によって一変する可能性はあり
これまでは芝コースの方がダートコースより速いタイムが出やすいという話をしてきましたが、これはあくまでもそれぞれのレコードタイム(=最速タイム)を比較したためであり、実際にはタイムが逆転することは十分にあり得ます。
例えばですが、大雨によって芝コースが極端に水分を含み、いわゆる不良馬場と発表されるような馬場状態の場合、芝コースも芝の根元は土になっていますから、田んぼのようなドロドロで走りづらいコースに様変わりします。
このような場合、多くの競走馬が足を取られやすく、また芝に水滴が多くついていることで滑りやすくなるため、速く走ることが困難になります。
そうなると、芝コースでもダートコースの良馬場や稍重馬場と同じくらいのタイムになることも珍しくはありません。
一方、ダートコースの場合は逆で、ダートコースにおいて走りやすい(スピードが出やすい)のは水分が含んでいる重馬場や不良馬場であるという事実があります。
実際に最初にお出ししたレコードタイム、実は重馬場での記録が6回、不良馬場での記録が6回という結果が出ています。
なぜダートコースは水分を含んでいた方が走りやすいかと言えば、これも海の砂浜をイメージしていただければ分かりやすいですが、皆さんがテントやシートを張るような乾いている砂は深くて走りづらいですが、波が押し寄せて引いた後の砂地は砂が湿って固まるので、普通の道と同じように走りやすいのではないでしょうか?
イメージとしては競馬のダートコースでも同じことが言えますので、実は芝コースとダートコースが両方とも重馬場や不良馬場という日の予想をするときは、案外ダートコースの方が速いスピードで走れるということは頭に入れておいたほうがいいかもしれませんよ。
まとめ
芝コースとダートコースでは同じ距離でもタイム差が大きく広がることがお分かりいただけましたでしょうか。
一方で、馬場状態によっては逆転することもあり、それだけでも競馬の世界は奥が深いものだと考えさせられます。
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