稀代のバイプレイヤーとして芝ダート、中央地方海外、重馬場良馬場、マイル中距離と、条件をまったく問わなかったスーパーホースといえば、アメリカ産馬アグネスデジタル(父クラフティプロスペクター)以外にいないでしょう。
ボクシングの世界チャンピオンとちがって、勝てそうなレースを選んで勝ったというわけではなく、あの七冠馬テイエムオペラオーを天皇賞で破ったのですから、そのポテンシャルはイメージ以上のものがあったことは間違いありません。
今回はそのアグネスデジタルの産駒情報に迫ります。
代表産駒の一覧を紹介
これはかなり意外な事実なのですが、アグネスデジタル産駒は残念ながらまだ中央GⅠ勝ち馬を出していません。
交流重賞では、GⅠ級という意味で言えば、カゼノコ(母の父ラグビーボール)※がジャパンダートダービーを2014年に優勝していました。
しかしこのレースは3歳戦ですし、まだこの1頭しかGⅠ級レースを優勝していないというのは、競走馬としてはスーパーホースだったアグネスデジタルの種牡馬成績という意味でやはり意外です。
また、GⅡを勝ったのも、同じく3歳牝馬限定のフィリーズレビューを勝った3世代目サウンドバリアー、そしてこちらは3重賞を制した初年度産駒ヤマニンキングリーの札幌記念、そして5世代目のアスカノロマン(東海S)※の3鞍のみです。
その他の重賞勝ち馬は、初年度のドリームシグナル(シンザン記念)、ユビキタス(ユニコーンS)、ダイシンオレンジ(アンタレスS、平安S)、2世代目グランプリエンゼル(函館SS)、4世代目メイショウスザンナ(クイーンS)※といういずれもGⅢ戦を優勝しています。
(※は現役馬)
アグネスデジタル産駒の特徴
お父さん同様、芝ダート、距離も2000mくらいまでこなす産駒が多く、馬場は不問です。
ただ、お父さんと違うのは、それが器用貧乏のような印象をどうしても受けてしまうところです。
一芸に秀でた産駒が多いディープインパクトやステイゴールドなどとはどうしても異なり、それがアグネスデジタル産駒の悩ましいところです。
まあお父さん同様個性的な馬が多いのは、ファンとしてはうれしいのですが。
ただ、現在ダートで活躍しているアスカノロマンは、まだまだ今後伸びそうな印象がありますので、今後に注目です。
アグネスデジタル産駒の成績
アグネスデジタルはここまで10世代をターフに送り、産駒は全部で407勝を挙げています。
うち、芝で117勝、ダートで281勝という内訳で、ダートのほうが産駒成績は優秀です。
2016年のリーディングサイアー争いでは、10月11日現在で24位(19頭が23勝)につけています。
まとめ
正直種牡馬としての期待に応えうるだけの産駒がいたとは、残念ながらここまででは言えないかもしれません。
しかし何といっても「異端児アグネスデジタル」ですから、まだまだ19歳、このあと誰も想像しなかったような、とんでもない大物を贈る可能性もわずかに残されている予感はあります。
なんとか、その血が広く残るよう頑張ってほしいです。