競馬新聞『研究ニュース』は1933年に創刊され、途中で戦争のため休刊はあったものの、現在も発行されている歴史ある競馬新聞です。
2010年に休刊した『競馬ダービー』と事実上統合した後、2012年に関西中心に発行されていた『競馬ニュース』と統合されるまでは『競馬研究』という名称でした。
現在は発行元が松井総業、『競馬ブック』の系列紙になります。
中央版の価格は450円。
研究ニュースの特徴
紙面の特徴としては、馬柱は縦組みで青色を基調とした2色刷になっています。
新聞は主場版と従場(ローカル)版の2紙が発行されており、日本競馬新聞協会加盟紙であるため、コンビニや駅の売店だけではなく、WINSや各競馬場でも販売されています。
『競馬研究』時代には南関東版の紙面も発行していたのですが、2008年に『競馬ブック』の南関東版の拡充に伴いその使命は終えましたが、ラジオNIKKEI第一の競馬中継のスポンサーになるなど、競馬中継を側面から支えることもしています。
『研究ニュース』のトラックマンは競馬中継の解説者として多くのメディアにも出演しており、BSイレブン競馬中継ではパドック解説者として、関東主場では京増真臣が関西主場では日比野正吾・永山弘樹が担当しています。
ラジオNIKKEIでは竹中昇・中西弘行・小宮邦裕の3氏が交代で解説を勤め、関東独立系UHF局で放送されている『競馬展望プラス』には藤原有貴が出演、競馬専門チャンネルの『グリーンチャンネル』では、関東で今野光成が、関西では小宮邦裕・竹中昇がそれぞれパドック解説をしています。
レース予想欄
予想としては池田勇孝が在籍していたときは“穴の池田”と呼ばれるほどの穴党予想で、どんなに強い現役最強馬が出走をしていようと、その馬には絶対に印を打たない(△やXさえも打たない)という徹底ぶりでした。
そのため熱狂的な池田信者なるものが登場し、必ず『競馬研究』で池田の印を見てから馬券を買うという事が行われていた程です。
また、星野英治(2015退社)はそれとは全く逆の、ほとんどのレースで1,2番人気に必ず本命の印を打つという大の本命党でした。
『競馬研究』時代にトラックマンとして在籍していた松沢俊夫はテレビやラジオで多くの競馬中継の解説者として出演し、予想を伝えるというよりは得意のパドック診断などで視聴者やリスナーに馬の情報を伝える事を優先し、競馬解説に新しい方向性を打ち出しました。
現在では、このような独創的なトラックマンや予想をする担当者はいなくなりましたが、情報量の豊富さや解説の分かりやすさなどでベテランから初心者まで、幅広く読まれています。
トラックマンの予想力は?
『研究ニュース』は穴予想を徹底した池田勇孝、堅実な予想を武器としていた星野英治という看板トラックマンが引退してしまいましたが、残っているトラックマンも負けず劣らずのクセ者ばかり。
ここでは、関東の京増真臣、関西の小宮邦裕がグリーンチャンネルの『トラックマンTV』にそろって出演した時に披露した予想を参考にして、2人の予想力がいかほどなのかを検証していきます。
2016年アルテミスステークスの予想
<京増真臣の印>
◎リスグラシュー
○フローレスマジック
▲トーホウアイレス
△シグルーン、アピールバイオ、マルモレイナ、サトノアリシア
<小宮邦裕の印>
◎リスグラシュー
○フローレスマジック
▲ヒストリア
△トーホウアイレス、シグルーン、サトノアリシア
2人そろって、1番人気のリスグラシューに本命、2番人気のフローレスマジックに対抗の印をつけました。
アルテミスステークスは2歳牝馬限定の重賞ですから、各出走馬の力関係を見極めるのがポイントとなりますが、2人ともリスグラシューとフローレスマジックは安全な人気馬だと判断したようです。
<結果>
1着 リスグラシュー(1番人気)
2着 フローレスマジック(2番人気)
3着 シグルーン(5番人気)
京増真臣、小宮邦裕ともに◎○△で見事的中。
上位人気馬で決着する堅いレースだったとはいえ、堅いレースをしっかり的中させるのは好感が持てますよね。
2016年スワンステークスの予想
<京増真臣の印>
◎アルビアーノ
○フィエロ
▲エイシンスパルタン
△ダンスディレクター、ブラヴィッシモ、サトノアラジン、サンライズメジャー
<小宮邦裕の印>
◎アルビアーノ
○フィエロ
▲サトノアラジン
△エイシンブルズアイ、ミッキーラブソング、ダンスディレクター、サンライズメジャー
単勝オッズが一桁台の馬が4頭もいた混戦でしたけど、◎アルビアーノ、○フィエロが同じだったのには驚きますよね。
京増真臣は安定した先行力を持つエイシンスパルタンを、小宮邦裕は追い込み馬・サトノアラジンを▲に抜擢。
京増真臣は先行馬有利の流れになると読み、小宮邦裕は追い込みも届く展開になると読んでいることが▲の印から判断できますよね。
<結果>
1着 サトノアラジン(2番人気)
2着 サトノルパン(8番人気)
3着 エイシンスパルタン(6番人気)
2人が本命と対抗に推したアルビアーノ、フィエロはどちらも着外に終わり、的中ならず。
2着だったサトノルパンにも印を回すことができませんでした。
2016年天皇賞秋の予想
<京増真臣の印>
◎モーリス
○ルージュバック
▲エイシンヒカリ
△アンビシャス、リアルスティール、ステファノス、ラブリーデイ
<小宮邦裕の印>
◎ルージュバック
○モーリス
▲エイシンヒカリ
△リアルスティール、ステファノス、ラブリーデイ
京増真臣は1番人気・モーリスに本命をつけ、小宮邦裕は3番人気の牝馬・ルージュバックに本命をつけました。
他の印については京増真臣がアンビシャスを加えているぐらいで、大きな差はありませんでした。
<結果>
1着 モーリス(1番人気)
2着 リアルスティール(7番人気)
3着 ステファノス(6番人気)
勝利実績がない2000mでもモーリスは大丈夫!と判断した京増真臣が◎△△で見事的中。
一方、小宮邦裕はモーリスを対抗にしてしまったため、的中ならず。
本命に推したルージュバックは7着に敗れました。
『トラックマンTV』での重賞予想対決は京増真臣が3レース中2レースを的中させ勝利しましたが、小宮邦裕も天皇賞秋では3着以内に来た馬すべてに印をつけていました。
プレッシャーがかかるTV番組での予想でもしっかりと結果を出しているわけですから、信頼度の高い予想を披露している、といえるのではないでしょうか。
まとめ
『研究ニュース』は現在、発行部数もかなり厳しい数字になっていますが、予想では一時代を築いた名物専門紙であることには間違いありません。
専門紙はスポーツ紙に比べて高いのですが、競馬場でのリアル観戦の時ぐらいは専門紙のご購入をお勧めします。
その方が『競馬場に来た~!』という実感が持てるのではないでしょうか。