2017年ジャパンカップでダントツの単勝1番人気キタサンブラックを破って注目を集めたのが、シュヴァルグランとヒューボウマン騎手のコンビでした。
最近は多くの外国人騎手が短期免許で来日し、またミルコデムーロとクリストフルメールの2人のJRA所属の外国人ジョッキーが年間通して活躍するため、目立たない存在かもしれませんが、ヒューボウマン騎手は世界でもトップレベルの実力の持ち主です。
さて、ヒューボウマンとはどんな騎手なのでしょうか?
ヒューボウマン騎手のプロフィール
1980年7月14日にオーストラリアを代表する都市の一つであるシドニーを州都とするニューサウスウェールズ州マッジーでヒューボウマン騎手は生まれています。
メンドーランで育ち、シドニーにあるスコッツカレッジを卒業後、16歳で見習い騎手として騎手デビューし初勝利も飾ります。
南半球であるオーストラリア競馬の1年間は8月スタートなのですが、1997年からのシーズンと1999年からのシーズンではニューサウスウェールズ州の最優秀見習い騎手になり、2001年には正式に騎手免許を取得します。
2002年には違法薬物の使用による処分で半年ほど騎乗できない時期もありましたが、その後2004年5月にGⅠ・ドゥームベンカップをディファイアで制してGⅠ初勝利を飾って以降、オーストラリアでは2017年に至るまで毎年GⅠ勝利をしています。
2008年にはオーストラリアンオークスとクラウンオークスというオーストラリアの2大オークスいずれも勝利するなどもし、更にはニューサウスウェールズでメトロポリタンといわれる主要競馬場のリーディングジョッキーにもかがやきます。
その後は2011年からのシーズン、2014年からのシーズン、更には2016年からのシーズンとリーディングを獲得しています。
日本におけるオーストラリアの騎手と言えば2015年からのシーズンにおけるニューサウスウェールズでヒューボウマン騎手を抑えてリーディングジョッキーとなったクレイグウィリアムズ騎手が日本でも多く騎乗していることもあって最も名が知られています。
あるいは、ヴィクトリア州で何度もリーディングジョッキーとなっているダミアンオリヴァー騎手が有名ですが、ヒューボウマン騎手は肩を並べるかそれ以上の騎手と言うことができます。
海外では2007年にイギリスで騎乗、世界の騎手招待競争であるシャーガーカップを優勝したほか、GⅡスーパーラティヴステークスを勝っています。
また、香港でも活躍しクイーンエリザベス2世カップや香港ダービーを勝利するなど、世界へ活躍の場を広げています。
そして2017年にはIFHA(国際競馬統括機関連盟)が発表したロンジンワールドベストジョッキーに選出されるなど世界の一流ジョッキーとしての評価を確立しています。
ヒューボウマン騎手の日本での成績
世界へ活躍の場を広げたヒューボウマン騎手が日本ではじめて短期免許を取得したのは2015年のことでした。
これまでの3年間での成績は次のとおりです。
短期免許期間 2015年 11/19~12/27
2016年 04/30~05/29
2017年 11/25~12/24
重賞勝利 2015年 GⅡ ホープフルステークス ハートレー
2017年 GⅠ ジャパンカップ シュヴァルグラン
特徴を見つけるために競馬場別と距離別でデータ集計をしてみました。
一番の特徴は芝とダートの成績差です。
オーストラリア競馬の中心は基本的に芝のレースということもあり、ダートより経験値の高い芝でのレース実績がすごいことになっています。
【芝のみ】競馬場別集計
集計期間:2015.11.21 ~ 2017.12.24
限定条件:芝のみ
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場所 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
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東京 4- 5- 2-11/22 18.2% 40.9% 50.0% 166 120
中山 4- 1- 1- 7/13 30.8% 38.5% 46.2% 164 78
中京 0- 0- 2- 5/ 7 0.0% 0.0% 28.6% 0 100
京都 1- 2- 3- 7/13 7.7% 23.1% 46.2% 82 327
阪神 0- 0- 4-11/15 0.0% 0.0% 26.7% 0 104
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【芝のみ】距離別集計
集計期間:2015.11.21 ~ 2017.12.24
限定条件:芝のみ
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距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
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1000m~1300m 0- 0- 1- 5/ 6 0.0% 0.0% 16.7% 0 63
1400m~1600m 2- 3- 4-15/24 8.3% 20.8% 37.5% 25 99
1700m~2000m 6- 3- 4-11/24 25.0% 37.5% 54.2% 205 146
2100m~2400m 1- 1- 2- 5/ 9 11.1% 22.2% 44.4% 147 403
2500m~ 0- 1- 1- 5/ 7 0.0% 14.3% 28.6% 0 42
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【ダートのみ】競馬場別集計
集計期間:2015.11.21 ~ 2017.12.24
限定条件:ダートのみ
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場所 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
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東京 2- 1- 3-15/21 9.5% 14.3% 28.6% 51 80
中山 1- 0- 0- 5/ 6 16.7% 16.7% 16.7% 131 38
中京 2- 0- 1- 7/10 20.0% 20.0% 30.0% 123 65
京都 0- 0- 2- 8/10 0.0% 0.0% 20.0% 0 45
阪神 1- 0- 0-12/13 7.7% 7.7% 7.7% 84 23
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【ダートのみ】距離別集計
集計期間:2015.11.21 ~ 2017.12.24
限定条件:ダートのみ
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距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
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1000m~1300m 2- 0- 1- 6/ 9 22.2% 22.2% 33.3% 210 82
1400m~1600m 4- 1- 2-21/28 14.3% 17.9% 25.0% 82 57
1700m~2000m 0- 0- 0-19/19 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
2100m~2400m 0- 0- 3- 1/ 4 0.0% 0.0% 75.0% 0 237
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基本的に芝のレースでは、ボウマン騎手の複勝を何も考えずに購入していれば、プラス収支になってしまうほどの複勝率の高さと配当だといえます。
また、ダートの中距離の結果が振るいませんが、裏を返せばそれを除いて買えばダートでも十分狙えるということを示しています。
ヒューボウマン騎手の評価
まずは、ジャパンカップがボウマン騎手の実力をいかんなく発揮したレースと言えますので振り返ってみましょう。
2017年11月26日に東京競馬場芝2400m17頭立てで行われたGⅠジャパンカップに単勝13.3倍の5番人気で出走しました。
当初、2017年秋シーズンだけでここまで既にGⅠを4勝していて今回もシュヴァルグランに騎乗すると思われたミルコデムーロ騎手がサトノクラウンに乗ることを選択した為、ボウマン騎手と初コンビでジャパンカップに挑みました。
そのシュヴァルグランは最内1枠1番から予想通りに逃げたキタサンブラックを見ながらインコースをじっくり追走します。
そして直線に向くとキタサンブラックの外に持ち出しスパートをかけ、この日一番芝の状態が良かったと思われる所を通って見事に1着でゴールしてしまいます。
東京競馬場の芝2400mの内枠からの勝ち方はこれしか無いと思わせるような絶妙な騎乗でこれまでキタサンブラックに勝ちきれなかったシュヴァルグランを遂にGⅠ馬に導きました。
レース後、シュヴァルグランの馬主である佐々木主浩オーナーは、初コンビでも即座に馬の特徴をつかんでくれる名ジョッキーとボウマン騎手のことを高く評価しました。
また、ペースの読みも絶妙で極端に後ろから競馬をすることが少ないことや、騎手の腕で人気薄の馬を走らせてしまうところなど、目を見張るところが多く、正に世界的にも認められている騎手のレースを見せつけたと言ってもいいでしょう。
まとめ
2017年の短期免許はすでに終了してしまいましたが、2018年も引き続き4年連続で来日する可能性は現時点でも十分あります。
再び日本で騎乗する際には、改めてヒューボウマン騎手に注目していきたいと思います。