佐藤洋一郎のプロフィール
現在では早稲田大学中退、そして明治大学の職員の免許をもっているといった一風変わった経歴の持ち主ですが、10代後半から20代前半にかけては鳶職、運送業、清掃会社、屋台での焼き鳥屋など、とにかくお金になる職業を転々としていました。
しかし、どれも長続きすることなく浪費に明け暮れていた時代に新聞の読者予想コンテストで優勝したことがきっかけとなり、それが生涯を決める出会いとなり今に至ります。
また余談として、中学生時代から夏休みに府中(今の東京競馬場)で氷屋のアルバイトをしていたため、当時から厩舎関係者と顔見知りが多かったことも今の予想屋といった職に就くのに大きく影響したのは間違いないでしょう。
『サンケイスポーツ 読者予想コンテスト』で大橋巨泉との出会い
1970年に『サンケイスポーツ』の競馬欄における読者予想コンテストで初代チャンピオンとなった佐藤氏はその予想が高評価されて『競馬エイト』の発刊スタッフとなり、そこで当時競馬エイトの看板評論家であった大橋巨泉氏の担当を務めることになりました。
それまで何十年も毎週馬券を買い、レース予想を繰り返し、そのための勉学や取材等を繰り返してきた実績と経験に裏付けされたその発言や予想は、当時番記者であった佐藤氏の礎となり、そういった予想を毎週何十年も繰り返してきた『競馬ファン』の方が馬の生産者や、調教師、または騎手といったホースマンよりも広く、そして深く競馬を考えた上で理解しているといった考え方をただ一人受け継いでいるのが佐藤洋一郎という男ではないでしょうか。
当時『アンチ巨泉』として予想をしていた佐藤氏でしたが、今でもその予想の根底には大橋巨泉氏と過ごした時間が大きく影響していると言っても間違いないと思います。
佐藤洋一郎の予想スタイル
1頭の『競走馬』を徹底追及するにあたって、厩務員、調教師、騎手などへの取材を欠かさないだけではなく、獣医や装蹄師などからも教えを請う徹底したスタイルは予想をする上で非常に説得力があり、厩舎関係者からも非常に信頼があります。
さらに佐藤氏の予想の根底にあるものとして最も大きいものは、『「馬」と「競馬」は別物である』といった考えではないでしょうか。
基本的に集団生活を主とする「馬」ですが、複数の馬が狭い円形コースにおいて決められた距離の中で勝敗を決する「競馬」においては、その馬個人個人の気性や得意とする脚質、さらにはその馬自身の体質といったものが影響し、結果としてレースにおいて本来の能力を発揮できない馬が多数出てきます。
佐藤氏の予想では有力馬の中からそういった不安要素を持った馬を的確に見つけ出し、人気のない馬の中から「季節」「馬場」「展開」といった要素において恩恵を受けそうな馬を積極的に買うといった馬券の予想スタイルとなっています。
佐藤氏の素晴らしいところは、予想をする上で師と仰ぐ人物がおらず、全てを独学で独自開発してこれらの理論を確立したところではないでしょうか。
佐藤洋一郎 天皇賞・春2016予想
2016年天皇賞・春の予想において、佐藤氏は単勝オッズ99.2倍の③カレンミロティックに本命を打ち、対抗に①キタサンブラックを挙げていたことで、大荒れとなったこのレースを大本線で的中させ、競馬ファンや読者を大きく驚かせることになりました。
ただ、個人的にもっと驚かされたのは、1番人気であった⑰ゴールドアクターに対して、自身をもって「消」の印を打っていたことではないかと思います。
普通の予想屋であれば、多少不安要素があっても実績上位馬に対しては何らかの印を打つ傾向にありますが、自分の信念の下でこれをバッサリ切ることができるのことの方が、万馬券を的中させるより凄い事ではないでしょうか。
予想の丸乗りは個人的に好きではありませんが、混戦模様のレースにおいては今後も参考にしていきたい予想屋だと思っています。
まとめ
『サンケイスポーツ』といえば『佐藤洋一郎』といった認識がされているように、何度も大万馬券を当てる予想屋はやはり根底に揺るぎない『信念』があることが上記内容から理解できると思います。
ある程度競馬に慣れてきたファンの方にぜひおススメしたい予想屋の一人ですね。
サンケイスポーツの競馬欄について詳しく知りたい方はこちらもどうぞ