競馬の世界でレース間隔が長く空くことを休み明けといいます。サラブレッドは一度レースを全力で使うと約1か月ほどその疲れが残るといわれるほど繊細な生き物です。
一度使われた馬は一般的には1か月ほど間隔を空けてレースに出走するわけですが例えば日本ダービーに出走した馬が次走に選択するレースは基本的には菊花賞トライアルである神戸新聞杯・セントライト記念です。
ダービーと神戸新聞杯・セントライト記念は4か月近く間隔が空きます。競馬の世界では夏や冬に数か月間レース間隔が空くことを休み明けといいます。
休み明けとは一般的にはネガティブに捉えられる傾向が強いです。
人間でも正月休み明けやお盆休み明けだと調子が上がらないように競走馬も休む期間が長ければ長いほど、復活したときに本来の実力を出すことができません。
しかし、休み明けで不利であるはずの状態でも激走し1着になるケースは珍しくありません。そのため休み明けの馬の取捨選択に悩まれる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、休み明けの馬がレースで好走するのかどうかを見極めるための重要なツールといわれる外厩情報について紹介していきます。
外厩情報とはどのようなものなのかを解説するのはもちろん、どこで外厩情報を仕入れることができるのかについてもご紹介します。
外厩(がいきゅう)情報とは?
競走馬が調教する施設といえば一般的にトレーニングセンター(トレセン)を思い浮かべる方が多いでしょう。
トレーニングセンターとはJRAが管轄の国営調教施設で、関東馬であれば茨城県美浦村にある美浦トレーニングセンター、関西馬であれば滋賀県栗東市にある栗東トレーニングセンターで調教されるのが一般的です。
ところが近年はJRA以外の民間企業が運営するトレーニング施設が充実してきました。
代表的なのが福島県天栄村にあるノーザンファーム天栄でしょう。
2018年の牝馬三冠を制したアーモンドアイや菊花賞を制したフィエールマン、有馬記念の勝ち馬ブラストワンピースのようにノーザンファーム天栄で仕上げられた馬が近年ビッグレースを手中に収める傾向が強くなりました。
常識を覆すローテーションでアーモンドアイらがビッグレースを制したことによりノーザンファーム天栄の知名度は瞬く間に世に広まることとなりました。
ノーザンファーム天栄は外厩です。栗東トレーニングセンターや美浦トレーニングセンターといった国営施設が内厩と呼ばれるのに対し、ノーザンファーム天栄のように民間企業が運営する施設を「外厩」と呼ぶわけです。
社台ファームの馬の多くは先ほど紹介したノーザンファーム天栄やノーザンファームしがらきで調教されたのちにトレーニングセンターに入厩します。
なぜならレースに出走する馬は10日前までに栗東か美浦のトレーニングセンターに滞在しなくてはならないからです。
それならば内厩であるトレーニングセンターにずっと滞在して調教されていたほうが効率的に感じますが、わざわざひと手間かけて外厩を使う人が増えています。
理由はシンプルでトレーニングセンターより強い馬づくりができる設備が整っているからです。
そのため、競馬予想家の中でも外厩を使っているかどうかを予想のひとつのファクターとして取り込まれている方も多いです。
しかし、内厩に比べると外厩はやや閉鎖的なイメージがあり、トレーニングセンターと比較すると外厩に取材に行く記者は少ないです。
そのため内厩よりも圧倒的に外厩情報は少ないのが現状なのです。
しかし、内厩よりも情報が少ないとはいえ、近年は外厩が注目を浴びている背景もあり、外厩情報を盛んに取材、取り扱うメディアも増加してきました。
外厩を利用している馬の詳しい情報が載っているものを一般的には外厩情報と呼びます。
外厩情報はどの牧場へ放牧に出されたのかが分かるだけではなく、外厩でどのような調整が進められたのかを知ることができます。
トレセンでの調教本数が少なくても、外厩でどれほど仕上げているかが分かるのが外厩情報の特徴で、精度の高い外厩情報を把握していれば馬券予想で優位に立てるのです。
外厩情報はなぜ競馬新聞にのっていないのか?
基本的に競馬新聞では外厩情報は掲載されません。
理由は競馬を取材する記者の絶対数が少ないからです。
競馬の取材者は内厩を中心に情報を探しているのですが内厩情報だけでも膨大にあり、競馬記者は多忙なのです。
そのため外厩情報を取材する余裕がないんです。
外厩情報を取り扱うサイト2選
では、どのようにして外厩情報を入手するかというと、主な手段としてはインターネットサイトやブログがメインとなります。
サイトの会員になったりメールマガジンに登録することで外厩情報を知ることができます。
下記に紹介するサイトは外厩情報を取り扱っているサイトの中でも特に有名なサイトです。
外厩情報を取り扱うサイトはまだまだ普及真っただ中で時には詐欺まがいのサイトもあるためご注意ください。
JRDB
全レースに出走する馬の情報が見られる大型データサイトです。
特に外厩情報が鮮明に記載されており、外厩情報を入手できるサイトの中ではトップクラスの情報量と精度を持っています。
欠点は有料コンテンツであることです。
初回申込金3000円or3500円かかり、その後の月会費は1980円or2480円かかります。
直前のパドックや返し馬のコメントを入手したいのであれば高いほうの会費を支払う必要がありますが外厩情報自体はどちらの会員でも知ることが可能です。
なお、予め3か月払い・6か月払い・12か月払いと3つのコースから一括支払いするとややお得になります。
支払いはクレジットカード・電子マネーちょコム・銀行振り込の3つから選ぶことができます。
UMATOKU
スポーツ新聞でも有名なスポーツ報知が運営する競馬ウェブサイトです。
こちらもJRDB同様豊富な情報を取り扱っているサイトで、競馬関係者ならだれもが耳にする報知のウェブサービスなので信頼度も抜群です。
JRBDと同じくこちらも有料会員にならないと外厩情報を入手できません。
料金プランは非常に細分化されているためUMATOKUの公式ページから参照してみてください。
>> https://umatoku.hochi.co.jp/
外厩情報の予想への活用方法について
外厩情報の見方は競馬サイト・ブログによって様々ですが有料情報サイトであるjrdbとUMATOKUの場合は出馬表の中にどの外厩に入厩したのかが分かります。
個人的に外厩情報を知るのであればjrdbをお勧めします。
なぜなら入厩した外厩情報だけでなく外厩先のデータや外厩先のビュアー、レース別外厩ビュアーなども知ることができるからです。
外厩情報を知るメリットとしては、強い馬づくりに取り組まれているかが分かります。
とくに外厩の代名詞ともいえるノーザンファーム天栄に放牧に出された馬はそれだけ期待値が高いことが分かりますし、その馬が未勝利戦や新馬戦に出走する予定であれば、例え人気を落としていても本腰いれて仕上げられていることが分かりますよね。
外厩情報を知ることは、競馬新聞では取り扱われていない極秘情報を入手するようなものなのです。
外厩は全く侮れない
外厩は本腰入れて調教された馬づくり専用施設というだけあり大舞台で活躍できる馬を数多く輩出しています。
現在は外厩情報は非常に少ないですし質の高い情報はどうしても有料コンテンツとなってしまいます。
しかしながら2018年のアーモンドアイやフィエールマンの活躍により、外厩情報の需要が飛躍的に増しているのも事実で、今後はより安く、より簡単に外厩情報を入手できる時代が訪れるのではないかと思います。
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