内田博幸騎手(美浦・フリー)は福岡県出身で現在46歳、大ベテランのジョッキーです。
笠松競馬の安藤勝己騎手らに続いての中央競馬への移籍ということで、地方から中央への移籍のパイオニア的存在ともされるジョッキーです。
内田騎手がJRAに移籍してきたのは2008年のことでした。
南関東時代にもすでにトップジョッキーとしての地位はゆるぎないものがあった内田騎手ですが、中央に移籍してからもすぐにトップジョッキーの仲間入りを果たす活躍は、多くの中央競馬のジョッキーにも多大な影響を与えました。
内田騎手の得意な条件、コース、展開、騎乗スタイルなど
内田騎手というと、差して届かなかった馬を叱咤激励しながら、その剛腕にモノを言わせて走らせてしまうという、いかにも職人気質といったイメージのジョッキーで、武豊騎手や横山典弘騎手など、中央のスタージョッキーとはまた違った魅力があります。
また、性格的にも漢気にあふれ、ベストパートナーとも言えるゴールドシップの引退式では人目をはばからず号泣するという、見ているファンからしても「内田さんありがとう!」と自然と声をかけたくなってしまうような、非常に人情味にあふれる勝負師です。
内田騎手は、ゴールドシップのようなちょっとワガママなタイプの馬に対しても、強引ともとれるような騎乗で走らせてしまうところがあり、それがプラスに働くケースもマイナスになってしまうケースもあるようですが、とにかくファイタータイプのジョッキーであるといえます。
普段は展開を読んで競馬をするタイプではなく、好位をとってソツなく回ってくるジョッキーですが、大一番ともなると、勝負師特有のカンが炸裂し、ときおり大穴を開けて波乱の立役者となることもあります。
地方出身のジョッキーということで、戸崎騎手や岩田騎手もそうですが、小回りコースでは卓越した騎乗技術を発揮するのが内田騎手の特長です。
先行馬に乗せると得意な印象がありますが、ゴールドシップやエイシンフラッシュなど、超GⅠ級の名馬とのコンビでは強引なまくりの競馬や鋭い末脚に託した騎乗など、その馬に合った騎乗ができるという意味で、ベテランらしい味のあるジョッキーでもあります。
現在までのレース成績
南関東時代の活躍はいうまでもなく、まさに非の打ち所のない活躍でした。
ほしいタイトルはすべて手にしていたので、逐一説明を加えるのは紙面の関係で不可能です。
また、南関在籍当時にもすでに中央GⅠで勝ち鞍を挙げていた(2007年NHKマイルC、17番人気ピンクカメオで優勝)ことでも知られます。
中央移籍後は、移籍していきなり夏のグランプリ・宝塚記念をエイシンデピュティ制し、秋には菊花賞のオウケンブルースリでクラシック初制覇を飾ります。
そして翌年2009年には中央競馬のリーディングジョッキーに輝く活躍を見せました。
その翌年2010年には、早くもエイシンフラッシュでダービージョッキーの名誉を手にします。
2011年、事態は一変します。
古巣の大井の交流戦の落馬により首を骨折、生命の危険も危ぶまれるレベルの大けがを負ってしまいます。
しかし驚異的な回復を見せ、2012年には大けがから復帰を果たし、鉄人ぶりを発揮しました。
その直後出会ったのが、あのゴールドシップでした。
内田騎手とのコンビで皐月賞、菊花賞、宝塚記念の3つのGⅠを制し、ゴールドシップと内田騎手はまさにベストパートナーとして現在でも語られています。
その後も、大魔神・佐々木オーナーの持ち馬ヴィルシーナとのコンビで、ヴィクトリアマイルを連覇(2013、14年)するなどの活躍を見せています。
次走予定
2016年は、現在のところまだ重賞での活躍は見られませんが、やはり内田騎手ですから、秋以降の巻き返しは必至と考えておいたほうがよいかもしれません。
岩田騎手とともに、どこまで巻き返してくるか楽しみです。