競馬のレースは良馬場で行われるのが馬や騎手にとって最も良いのですが、必ずしも晴ればかりの開催になるとはいえません。
雨がひどくなると、馬場状態も不良や重馬場といった状態になってしまいますが、中には悪い状態の馬場で力を発揮する騎手や競走馬も存在します。
馬場状態が悪い時には、どのような騎手達が活躍しているのかを、分析していきます。
重馬場や不良馬場で強い騎手
中央競馬で開催される競馬場は、芝の管理はもちろんですが、ダートの水はけの良さも欧州の競馬場や地方競馬場と比べるとかなり優れている管理状態となっています。
そんな競馬場でも激しい雨や雪などの後の馬場状態は決して良い状態とは言えずに、不良馬場や重馬場という状態でのレースが行われますが、悪い状態の馬場で力を発揮するのは、基本的に競走馬の適正能力で大きく差がついてしまいますが、仮に同じ馬に鞍上した時には力を出せる騎手と苦手意識のある騎手がいます。
どの騎手が1位という事は言えませんが、次にあげる騎手は重馬場や不良馬場といった馬場状態が良くない時にでも馬の力を引き出す能力にたけていると言われています。
・武豊騎手
・戸崎圭太騎手
・内田博幸騎手
おそらくこの6人が現時点での中央競馬で馬場状態が悪い時にでも、馬の能力をしっかりと出せる騎手になると考えられます。
ここで選択した6人は、リーディングでも上位に入る実力者ばかりですので、重馬場だけが良いというのではなく、どのような馬場状態にも対応ができるという騎手であることに違いはありません。
もちろん、他の騎手の中にもさほど大きな違いはないと思われる騎手も当然いるとは思いますが、より上位という意味でこの6人を選出しましたので、それぞれの騎手がなぜ重馬場や不良馬場に強いのかを考えてみましょう。
馬場状態に関係なく大舞台で実力を発揮する ミルコ・デムーロ騎手
2015年3月からJRA所属騎手として実力を発揮しているイタリア人のデムーロ騎手ですが、世間一般の評価としては大舞台であるGIや重賞にとても強く、午前中のレースなどでは手を抜いているのでは?と言われるような騎手です。
デムーロ騎手は、ゴール時に飛行機ポーズを披露したり、天皇賞ではゴール後、検量前に下馬をして天皇と皇后に最敬礼をするなど、パフォーマンス的にはプロ騎手としての素晴らしい面がありながらも、共に審議の対象となるような行動だけに問題点もありますが、ファンから見ればいろいろな意味で魅力あふれる騎手でもあります。
デムーロ騎手がこれまで経験をしてきた欧州の競馬場の多くは日本の競馬場ほど馬場状態が良いとは言い切れません。
つまり、ほとんどのレースでスタート後にどの位置取りから最適なラインを取れるかが勝負の別れ目につながりますので、デムーロ騎手も当然のように経験を積みながら的確なラインをキープできるようになっていったのだと考えられます。
記憶に新しい所では、2017年10月22日に行われた菊花賞で1番人気のキセキに鞍上していましたが、馬の実力はもちろん重要ではありますが、悪い馬場の中でもより良い外側の馬場を通りながらもできるだけ距離のロスを防ぎ、折り合いもつけるという見事な手綱さばきで勝利をしていますし、天皇賞・秋でも2着に入っています。
もちろん全ての不良馬場や重馬場で結果を出している訳ではありませんが、騎手の実力が試される長距離のレースを不良馬場の状態で制している事から雨でも実力上位騎手として評価をしても良いといえます。
馬の能力を最大限に発揮する戦略と技術 クリストフ・ルメール騎手
2015年3月からJRA所属騎手として活躍しているフランス出身の騎手ですが、デムーロ騎手と同時期にJRA所属騎手になったこともあり、お互いに注目される騎手となっています。
父が障害競馬騎手として、世界的な騎手であることから血筋なのかもしれませんが、抜群の騎乗センスが目立つ騎手です。
デムーロ騎手と同じく欧州の競馬場で経験を積んでいるだけに、悪い馬場状態の中でもより馬にとって負担の少ないコースを見つける能力にたけていて、本来の馬の実力をしっかりと出せる技術のある騎手です。
2017年は秋華賞が重馬場だったのですが、ルメール騎手は3番人気のディアドラで見事勝利をしていますし、どのような条件でも馬の力を引き出すという意味ではトップクラスの実力だと言われています。
デムーロ騎手と比べると派手さはありませんが、人気馬をしっかり走らせる能力にたけていることから安定度が抜群の騎手ですが、その鞍上スタイルは不良馬場になってもさほど影響がないと思えるくらいの安定感となっています。
日本の誇る代表的な騎手は重馬場も得意 武豊騎手
日本を代表する騎手と言えば、必ず名前が挙がる武豊騎手。外国人騎手や地方競馬出身騎手の登場でその地位が揺らいでいる印象もありますが、良い馬に乗ればしっかりと結果を出す騎乗技術は変わらない存在です。
以前は追い込み作戦をとる武豊騎手が怖がられていましたが、近年では逃げや先行で自身のペースに持ち込む勝ち方も多くなり、特に馬場状態の悪いダート戦では良い結果を残しています。
2017年秋のGIは馬場状態が悪いレースが続きましたが、秋華賞では4番人気のリスグラシューで2着に入り、天皇賞・秋では不良馬場もものともせずキタサンブラックで見事勝利を飾っています。
以前ほどの迫力はなくなったように見える武豊騎手ですが、技術面においてはさらに安定感が増している事もあり、今後も重馬場の時のダートで先行や逃げ馬に騎乗している時は要注意だといえます。
重馬場、不良馬場はお任せ 戸崎圭太騎手・内田博幸騎手・岩田康誠騎手
戸崎騎手、内田騎手、岩田騎手は3人とも地方競馬出身の騎手です。
戸崎騎手は、地方の南関東競馬・大井の所属でしたが、2013年3月からJRA所属騎手になりました。
JRAの試験に合格するまでに2度一次試験で不合格となっていることからあきらめていた発言も多かったのですが、現在ではリーディングを争うほどの信頼の厚い騎手になっています。
内田騎手も戸崎騎手の先輩にあたる大井競馬の出身で、2008年からJRA所属の騎手になっていますが、同じ大井出身の戸崎騎手とはよき先輩後輩の仲でありながらも、現在は良きライバルとしてしのぎを削りあっています。
岩田騎手は、園田競馬の騎手として活躍をしていましたが、2006年からJRA所属の騎手となっています。
この3人の共通点は、地方競馬から中央競馬へ移籍をしてきた騎手なのですが、地方競馬場の多くは、ダート戦の力のいる馬場での戦いが殆どになりますし、雨に対する馬場の水はけも中央競馬のダートと比べるとかなり悪くなっているのが特徴です。
更に大井競馬場はさほどでもありませんが、地方競馬の行われる競馬場の多くは小回りになっていることから、スタートからの位置取りもとても重要になりますし、中央競馬に所属をしている競走馬に比べると能力的に劣る馬も多いので、騎手の技術や戦略に多くの負担がかかることになります。
戸崎騎手に関しては言えば、近年は恵まれた馬への鞍上も多くなっていることから、あまり大きな違いはみられませんが、内田騎手や岩田騎手に関しては、人気以上の結果を残すことも多くあります。
天皇賞・秋でも岩田騎手は13番人気のレインボーラインを3着の馬券圏内に入着させていますし、内田騎手も9番人気のマカヒキを5着の掲示板圏内に入着させていることからも、悪い馬場が得意だとわかると思います。
まとめ
ここであげた騎手は重馬場や不良馬場だけでなく、良馬場でもそれなりに結果を残している騎手だけに実際の馬券での利用に関しては難しい面もあります。
現状では、デムーロ騎手やルメール騎手はもちろんですし、武騎手や戸崎騎手も比較的に馬場状態にかかわらず人気になる事が多いのですが、内田騎手や岩田騎手に関しては、必ずしも人気馬ばかりではないので、馬券的にもうまみがある事もあります。
最終的には競走馬の重馬場や不良馬場への適性も重要になりますが、血統的に重馬場が得意だと思われる馬が前のレースで凡走をした時に、内田騎手や岩田騎手に乗り替わったレースで、馬場状態が悪いような時には、狙ってみるのも面白いかもしれません。
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