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最高の舞台で結果を残せたヘヴンリーロマンスと2005年天皇賞秋で見せた最敬礼

By Goki - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=495547

 

ヘヴンリーロマンスの血統

サンデーサイレンス

Halo 

Hail to Reason 

Cosmah 

Wishing Well 

Understanding 

Mountain Flower 

ファーストアクト

Sadler's Wells

Northern Dancer 

Fairy Bridge 

Arkadina 

Ribot 

Natashka 

 父:サンデーサイレンス アメリカ産。アメリカ三冠レースのうち、ケンタッキーダービーとプリークネスステークスを制す。同じ年に、ブリーダーズカップ・クラッシックも制す。

 母:ファーストアクト アイルランド産。未出走。

 

ヘヴンリーロマンスの血統はアメリカ血統とヨーロッパ血統の融合というイメージとなります。

 

ただ、Sadler's Wells自身はアメリカ産であり、基本的にはアメリカ血統です。

 

ヘヴンリーロマンス自身の初勝利はダート戦でした。

そのままダート戦を使われていたとしても、実績を残すことができた可能性があります。

 

また、ヘヴンリーロマンスの切れ味鋭いスピードはサンデーサイレンスの血によって開花したと考えられます。

 

ただ、サンデーサイレンスによって開花したスピードは長期に持続した例は多くはなく、ヘヴンリーロマンスの場合は、5歳の夏から秋にかけての札幌記念と天皇賞秋に出走した頃の数か月間にピークが来たものと思われます。

 

その限られた期間に、天賦(ヘヴンリー)の才能を開花させることとなりました。

 

勝利GⅠレース(騎乗騎手)

 2005年 天皇賞秋(松永 幹夫)

 

能力は高いが勝ち切れず、2着が多い馬

 ヘヴンリーロマンスは生涯の全33戦のうち8勝し2着も8回あり、連対率は5割に近く、決して馬券に貢献できなかった馬というわけではありませんでした。

 

3歳時には、既に3歳古馬混合のGⅠであるエリザベス女王杯への出走も果たしました。

 

4歳時には、準オープンを勝ち上がった後に、いきなりGⅡサンスポ杯阪神牝馬ステークスに挑戦し、重賞初制覇を収めたように、元々能力の高さは感じられる馬でした。

管理する厩舎側もそのことを理解していたと思われます。

 

ただ、なかなか勝ち切ることができないレースが多く、時として凡走することもあり、いつ走るのかわからないため、馬券的に人気にはなりにくい馬でした。

 

馬の状態と出走するレースの条件がなかなか嚙み合わなかったためでしょう。

 

そのため、いきなり能力のトップピークとなった5歳時の札幌記念と天皇賞秋の出走時は、状態と実力とを照らし合わせて考えてみると、完全に人気の盲点となってしましました。

 

札幌記念の好走から天皇賞秋の出走へ

 5歳時、クイーンステークスでは10番人気でしたが2着と好走しました。

 

しかし、実力を発揮するのかどうか信頼できるイメージが薄いため、次走の札幌記念でも人気になることはなく、単勝17.7倍の9番人気での出走となりました。

 

ただ実際は、能力的にはトップピークの状態となっており、クイーンステークス前の休養によって体調も万全となっていました。

 

ようやく安定して鋭い差し脚を繰り出せる状況になっていたのです。

 

レースでは、ポンと好スタートを切り、第1コーナー向かいながら内側に進路を取りながら馬群の後ろあたりのポジションを取り、道中はそのまま馬群後方。

第3コーナー手前あたりから仕掛けながら馬群の中で徐々にポジションを上げていきました。

 

そして直線は馬群を縫うように鋭い末脚を繰り出し、ファストタテヤマとの叩き合いを頭差制しました。

 

馬群の中へ怯むことなく進んでいくことができたのは、ヘヴンリーロマンス自身の気力も充実していたのでしょう。

 

スタートが良く、馬群に怯まなくなってくると、ロスなくスピードの調整が効くようになるため、いよいよ馬自身が持っている能力が全開できる状態となってきます。

 

この結果を踏まえて、過去の天皇賞秋の勝ち馬であるエアグルーヴやトーセンジョーダンと同じように、札幌記念から天皇賞秋へのローテーションを選択することとなりました。

 

 

2005年天皇賞秋で松永幹夫騎手と共に最敬礼、お辞儀

 2005年の天皇賞秋は「エンペラーズカップ100年記念」と副題が付けられ、1899年(明治32年)以来106年ぶりの天覧競馬、史上初めて天皇皇后両陛下の御来臨を得て実施されました。

 

ヘヴンリーロマンスは、札幌記念後、約2ヵ月の休養を挟んだ出走とはなりますが、ローテーション的には過去の天皇賞秋の勝ち馬のパターン一つであり、決して無理のないものでした。

 

ただ、馬券的な信頼感が薄いことと、夏の好走が秋になって忘れられてしまったような感じがあり、単勝75.8倍の14番人気と完全に人気の盲点となっていました。

 

1番人気は、前年の天皇賞秋の覇者、ゼンノロブロイでした。

 

 レースは、3歳馬ストーミーカフェが前半1000メートルを62秒4のゆったりとしたペースで逃げたため、スローペースの展開となりました。

 

ヘヴンリーロマンスは札幌記念の時と同様スタートを決め、馬群内側にポジションを確保していきました。

途中仕掛ける馬もなく、第4コーナー過ぎ直線坂下でようやく牝馬ダンスインザムードが動き始めました。

 

1番人気のゼンノロブロイはその後ろの馬群から抜け出し、ゴールまで残り100メートルあたりでダンスインザムードを捉え、横綱相撲で連覇なるかと思われました。

 

その時、ヘヴンリーロマンスがゼンノロブロイの内からゴール前の数メートルの所で、猛然と末脚を伸ばし、ゼンノロブロイよりさらに頭差だけ先にゴールに飛び込んだのでした。

 

大波乱となった結果に場内が騒然となる中、ヘヴンリーロマンスはウイニングランを終えて、貴賓室の前でぴたっと脚を止めました。

 

その時、場内が静かになり、松永幹夫騎手が天皇両陛下へ深々と一礼をしました。

 

その間、ヘヴンリーロマンスも凛と立ち止まり、競馬場全体の時間が止まったような何とも言えない荘厳な雰囲気となりました。

 

まさに、人馬ともに天皇両陛下に最大限の敬意を表した瞬間でした。

 

日本競馬史に残る名シーンとなりました。

 

 

母親譲りの勝負根性のある産駒に注目

 ヘヴンリーロマンスは引退後、生まれ故郷のノースヒルズマネジメント(現・ノースヒルズ)にて繁殖牝馬になりました。

 

産駒の特徴としては、芝もこなしますが、ダートの方がより適性を示す傾向にあります。

血統構成としては基本的にはアメリカ血統であり、このような活躍は納得できます。

 

繁殖牝馬としての初年度と2年度は、キングカメハメハと交配され、牡馬を出産しましたが、目立った成績を残していません。

 

ジャングルポケットとの交配で生まれた第4仔のアウォーディーは、デビューから26戦、芝コースを使われてきましたが、27戦目にダートで使われて勝利し、以後ダート戦で負けることなく2016年JBCクラッシックを制覇し、チャンピオンズカップでは1番人気に支持され2着となりました。

 

最近では、第5仔はSmart Strike、第6仔はTapit、第7仔はDistorted Humorと交配し、ダート適性の高さを意識した交配を行っています。

 

第5仔のアムールブリエはエンプレス杯を勝ち、産駒による重賞初制覇を飾りました。

 

第6仔のラニは、2016年にUAEダービーを日本馬として初めて勝った後、アメリカ三冠レースに挑戦し、ベルモントステークスに3着に入るなど、アメリカのダート競馬でも十分通用する能力を示しています。

 

現在の傾向を踏まえると、ヘヴンリーロマンス産駒のダート戦の走りには、今後もしっかりと注目していきたいところです。

一方で、母譲りの芝で切れる脚を使う産駒が誕生する可能性も十分あります。

 

いずれにせよ、母ヘヴンリーロマンスが最盛期に見せた、馬群に怯まずに突っ込み、ゴールまでしっかりと走り切るような、勝負根性のある産駒が出てきた場合、相当な大物である可能性があります。

 

産駒の道中の動きや脚の使いどころに注目して、次走の馬券を買っていくと、高配当の馬券を取ることができるかもしれません。

 

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