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エアメサイアの血統
サンデーサイレンス |
Halo |
Hail to Reason |
Cosmah |
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Wishing Well |
Understanding |
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Mountain Flower |
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エアデジャヴー |
ノーザンテースト |
Northern Dancer |
Lady Victoria |
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アイドリームドアドリーム |
Well Decorated |
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Hidden Trail |
父:サンデーサイレンス アメリカ産。アメリカ三冠レースのうち、ケンタッキーダービーとプリークネスステークスを制す。同じ年に、ブリーダーズカップ・クラッシックも制す。
母:エアデジャヴー 桜花賞3着、優駿牝馬オークス2着、秋華賞3着。
大種牡馬ノーザンテーストを父に持ち、母にサンデーサイレンスという当時としては「必勝パターン」の掛け合わせ。
全兄にはエアシェイディ(AJCC勝ち)、半弟には二冠馬エアシャカールがいます。
父と母の血統から、エアメサイアの血統は血統好きが注目せざるを得ない構成であり、デビュー前から「良血」として活躍が期待されることになりました。
勝利GⅠレース(騎乗騎手)
2005年 秋華賞(武 豊)
良血通りの堅実派
父がサンデーサイレンスで、母がそこそこ馬券に絡んでいた実力馬であったこともあり、良血としてデビュー前から注目されることになりました。
競争成績もほぼ人気通り走り馬券に絡むことが多かったため、現役時代は堅実派として人気が高い馬でした。
ライバル、シーザリオとの対決
シーザリオとは現役時に2回対決しています。
1回目は桜花賞、2回目はオークスの時です。
1回目の対戦の桜花賞では、シーザリオはデビュー4戦目。
ちぐはぐなレースをしながらも直線猛烈な追い込みを見せ2着に食い込み、能力の高いところを示しました。
一方エアメサイアは特に不利もなくレースを進めることができましたが、4着に入るのが精一杯でした。
2回目の対戦となるオークスでは、桜花賞馬ラインクラフトはNHKマイルに向かったため、エアメサイアは何としても結果を残したいところでした。
ただ競馬ファンは、桜花賞で荒削りなレースで直線脚を余したシーザリオを1番人気に押しました。
エアメサイアは2番人気に甘んじることとなりました。
レースでは、シーザリオがスタートでやや立ち遅れました。
隣のゲートであったエアメサイアの武豊騎手はその様子を見逃さず、外からエアメサイアをかぶせ、シーザリオの出脚を抑えることができました。
やむなく、シーザリオは後方3、4番手でレースを運ぶことになりました。
そして第4コーナーを回り最後の直線、武豊騎手は、完璧なタイミングでエアメサイアを追い出し先頭に立ち、オークス勝ちが見えたのが束の間、外からシーザリオが猛烈な追い込みでエアメサイアを差し切ってしまったのです。
完璧なレースをしたエアメサイアに対し、ちぐはぐなレースをしながら勝ち切ったシーザリオの実力が上であったと認めざるを得ない結果となりました。
シーザリオは、その後アメリカのGⅠアメリカンオークスを勝った後、故障で戦線離脱。
そして、レースに復帰することなく引退。
二度と両者の対決が実現することはありませんでした。
お互いの競争能力は産駒にも伝えられ、2015年の朝日杯フューチュリティステークスでは、シーザリオの産駒リオンディーズ、エアメサイアの産駒エアスピネルが出走し、オークス以来の産駒による対決が実現したのです。
結果は、1着がリオンディーズ、2着がエアスピネルとなり、産駒対決でもエアメサイアはシーザリオの後塵を拝する結果となり、やはり、シーザリオには勝つことができませんでした。
秋華賞勝利でついにGⅠ馬に
春のクラシックは桜花賞4着、オークス2着と堅実な成績を残しましたが、勝利にはもう一歩というところであったエアメサイア。
秋になり、3歳牝馬GⅠの秋華賞勝利にむけて、当然力が入ることとなります。
オークスで後塵を拝したシーザリオは故障のため出走しませんでしたが、勝利するためには、桜花賞とNHKマイルカップを勝ったラインクラフトに勝つ必要がありました。
ラインクラフトとは、秋華賞の本番前にトライアルレースであるローズステークスで対戦することになりました。
レースでは、4コーナーを過ぎて直線で早めにラインクラフトが抜け出して先頭に立ちましたが、エアメサイアがゴール前できっちりラインクラフトを差し切りました。
本番前にラインクラフトを下すこととなり、自身の初重賞勝ちとなりました。
秋華賞本番では、GⅠ2勝のラインクラフトの方が実績を評価されて単勝1.8倍、対しエアメサイアの単勝は2.5倍と2番人気に甘んじることとなりました。
レース本番では、スタートしてラインクラフトは好位に位置し、エアメサイアはラインクラフトを見る形で、中団でがっちり折り合いました。
先に動いたのはラインクラフトでした。
ラインクラフトは他馬と接触したために闘志に火が付いてしまい、そのまま抑えることなく加速していきました。
第4コーナーを回り直線に入ってもセーフティリードを保ったままゴールするかと思われましたが、エアメサイアの末脚が残り1ハロンで炸裂し、前走のローズステークスの時と同様、ゴール直前でラインクラフトをとらえることができたのです。
念願のGⅠ勝ちとなりました。
第1回ヴィクトリアマイルへの出走
1996年にエリザベス女王杯が古馬にも開放され、古馬牝馬のレース体系の整備が始まりました。
秋シーズンだけではなく、春シーズンにも古馬牝馬限定のGⅠレースをということで、2006年に東京芝1600mを舞台にヴィクトリアマイルが設けられることになりました。
その記念すべき第1回ヴィクトリアマイルには、エアメサイアの他に、ラインクラフト、2004年の桜花賞馬ダンスインザムード、2003年阪神ジュベナイルフィリーズ優勝のヤマニンシェクルのGⅠ勝ち馬が出走してきました。
レースでの人気は、距離が1600mというともあり、過去の桜花賞馬のラインクラフトが1番人気、ダンスインザムードが2番人気となり、エアメサイアはこれら2頭に続く3番人気でした。
当日の馬場は前日までの雨の影響で稍重の発表で、切れる脚を生かしてレースをするエアメサアにとっては少し不利な馬場と思われました。
そのことも、人気を下げた要因でした。
レースでは、1番枠に入ったダンスインザムードが、スタートしてからインをぴったりと5番手当たりをキープ。
4コーナー過ぎ直線半ばで、騎乗の北村騎手がゴーサインを出すとそのままゴールに向かうところを、大外18番枠からのスタートとなったエアメサイアが外から鋭い足を繰り出して追い込んできましたが、1馬身1/4差まで詰めたところがゴールでした。
結局は、馬場と枠順不利が重なったためにダンスインザムードを交わすことができませんでしたが、古馬になっても、息長く実力を発揮できることを示したレースでした。
裏切らない堅実派と支えた武豊の手腕
エアメサイアのレースにはすべてに武豊騎手が騎乗しています。
出走したすべてのレースにおいて3番人気以内に支持され、5着以内の掲示板を確保することができています。
良血通りの活躍と言えばそれまでですが、ローズステークスや秋華賞において、ゴール前でラインクラフトをきっちりと差し切ることができたのは武豊騎手の手腕の賜物でしょう。
突然の訃報、事故の原因は?
2014年9月12日に繋養先の社台ファームで事故死したことが発表されました。
まだ12歳の若さでした。
良血でもあったことから、産駒への期待も大きく、訃報の衝撃は大きいものがありました。
結局は、エアスピネルを始め、5頭の産駒を産みました。
第1仔と第2仔は牝馬ですので、今後もエアメサイアの血が引き継がれていくことになるでしょう。
エアメサイアの孫の活躍に期待したいところです。
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